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ペレス残留で角田裕毅のレッドブル昇格見送り…イワン・カペリが語るチームの判断の根拠と角田への期待値
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byMasahiro Owari
posted2024/08/02 17:01
今季中のレッドブル昇格が事実上消滅した角田。この結果は数年後、吉と出るか凶と出るか
そこで注目されたのがRBに所属する角田裕毅だった。デビューから2年間はガスリーの後手に回ったが、ガスリーがチームを去ってからの2年間は、ニック・デ・フリース、リアム・ローソン、そして今シーズンはダニエル・リカルドを上回るレースを見せてきた。彼らに対して角田は常に予選で速く、レースでも多くのポイントを獲得している。
しかし、今回レッドブルは角田の昇格に動かなかった。元F1ドライバーで、現在イタリアのテレビ局「スカイ・スポーツ・イタリア」でコメンテーターを務めるイワン・カペリは、その理由を次のように推測する。
「ツノダは今年、確かに大きく成長した。ただしトップチームで走るなら、中小チームとはまったく異なる環境でレースをしなければならない。コース上で常に良い成績が求められるだけでなく、コース外でもチームやスポンサー企業の広告塔としてさまざまなプロモーション活動がある。当然、メディアからのプレッシャーもある。しかも、その環境の変化がシーズン途中のことならば、ドライバーはより大きな負担を強いられる。レッドブルも過去の経験を踏まえて、少し慎重になっているのかもしれない」
移籍すべきタイミングとは
カペリはレイトンハウス(マーチ)時代に表彰台に上がるなど優秀な成績を残した後、フェラーリに移籍。さまざまなプレッシャーやトップチームがゆえの政治的な闘争の中で、実力を発揮できないまま1年でフェラーリを去った苦い経験を持つ。
ただしカペリは、角田にはトップチームへ行くポテンシャルがあるとも語る。
「私が見たドライバーの中で、ツノダはトップチームのシートを獲得するポテンシャルを持つ初めての日本人であることは確か。ようやく、そういうドライバーが日本から出てきた。あとはタイミングだ」
そのタイミングが訪れるときは、日本人がだれも成し遂げていない表彰台の頂点に立つチャンスになることは間違いない。