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バスケットボールPRESSBACK NUMBER
同い年の河村勇輝から「打ち続けるのがトミーの仕事だから」と…パリ五輪バスケ代表・富永啓生(23歳)が振り返る“スランプ”からの脱出劇
text by
富永啓生Keisei Tominaga
photograph byKiichi Matsumoto
posted2024/07/27 17:01
昨年のW杯では一時得意のシュートで「スランプ」も経験したという富永啓生。パリ五輪で輝きを放つことはできるだろうか?
二戦目のフィンランド戦では、満足のいくパフォーマンスをすることができた。スリー4本を含む17得点というスタッツも上出来だが、中でも第3クォーターにフィンランドに18点リードされ、得点を求められた場面で2本シュートを決めることができたのは良かった。
また、この大事な試合で最後までコートに立てたのも収穫だった。スタメンにこだわりが無いと言えば嘘になる。正直に言えばスタートで出る方がプレーしやすい。しかし、何より大事なのは試合が決まる瞬間にコートに立っていることだと思っている。
「いじりあう仲」同い年・河村への思い
個人的に手応えのあったフィンランド戦だったが、あの試合で誰よりも会場を沸かせたのは河村(勇輝)だった。
最もアイコニックだったのは(ラウリ・)マルカネンの上からプルアップで決めたスリーポイントだろう。マルカネンはNBAのオールスターにも選ばれたことがある選手で、フィンランドのエースである。そのマルカネンの上から決めたこと、残り時間が三分を切っていたこと、2ポゼッション差を3ポゼッション差に広げるプレーだったことが、あのプレーを特別なものにしていた。
しかし、先に書いたように、僕と河村はお互いをいじりあう仲だ。そんな僕にとってはあのマルカネン越しのシュートよりも、残り時間数十秒の場面で他の選手の上から決めたシュートの方が価値が高かった。と言うのも、あのシュートを決める前河村は、スクリーンをかけに来たホーキンソンを腕を振るジェスチャーで追い払っていたのだ。
「スクリーンは要らない、俺が一人で決める」
とでも言うような自信に満ち溢れたあのシーンは、率直に言っていじり甲斐があった。早速翌日の練習で何度も物真似したのはいい思い出だ。