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同い年の河村勇輝から「打ち続けるのがトミーの仕事だから」と…パリ五輪バスケ代表・富永啓生(23歳)が振り返る“スランプ”からの脱出劇
posted2024/07/27 17:01
text by
富永啓生Keisei Tominaga
photograph by
Kiichi Matsumoto
ついに開幕を迎えたパリオリンピック。NBA選手を擁する強豪国がひしめく中で、バスケ日本代表チームも格上たちに戦いを挑む。そんなチームのエースシューターである富永啓生選手の著書『楽しまないと もったいない』(ダブドリ)から一部転載で、富永選手が昨年のW杯で印象に残ったシーンをご紹介します。(全2回の第2回/最初から読む)
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富永が振り返る昨年のW杯
まず、初戦はその後大会を制することになるドイツと対戦したのだが、この試合が僕にとっては一番の衝撃だった。ドイツは僕にフェイスガードをつけてきたのだ。さらに驚いたことに、第1クォーターの終わりにはフランツ・ワグナーが僕のマークについた。
フランツと言えば2021年に全体8位という上位指名を受けてNBA入りしたスター候補だ。208cmという長身ながら運動能力も高く、ペリメーターでプレーするスキルもある。2年目の2022-23シーズンには平均18・6点を挙げており、将来オールスターに入ってもおかしくない。
そのフランツも、僕のマークにつく間はフェイスガードだった。
練習期間の短い代表ではどうしても戦術はシンプルになるし、引き出しも少なくなる。僕をフリーにするセットがいくつもあるネブラスカと違い、ある程度アドリブでマークマンを引き剥がす必要があったが、それができなかった。
この試合の僕のスコアはスリーポイント1本とフリースロー2本の計5点止まりだった。全て試合の趨勢が決まった時間帯でのものだったが、0点に終わるのと1本でもシュートを決めるのとでは気持ちに大きな違いがある。
現時点ではドイツのフェイスガードを攻略できなかったものの、集中力を切らさずに次の試合に繋がるシュートを決めることができたのは良かった。