さて、その後のオーストラリア戦とベネズエラ戦の2試合で、僕はプチスランプを経験した。

　2試合合計15本のスリーポイントを打って、1本しか決めることができなかった。雄太さんに、「カリーがスリーポイント10分の0をたたいた試合があったけど、その次の試合でNBA記録を塗り替えたんだって。それがカーボベルデ戦で起こるぞ」と声をかけてもらい、非常に勇気付けられた。さらに、普段はふざけ合っている河村まで、「打ち続けるのがトミーの仕事だから」と真剣な顔で言ってくるので「こりゃあ、そろそろ決めないとまずいぞ」という気持ちも湧いてきた。

W杯では得意のシュートでスランプも経験した富永　©FIBA

　二人の言葉のおかげか、幸いにして最後のカーボベルデ戦ではスリーポイント6本を含む22得点を挙げることができた。個人としても及第点の活躍ができてほっとしたが、それより何よりチームの目標だったオリンピック出場の切符を獲得できたのが嬉しかった。

代表の好調がチームでの活躍に繋がる？

　思い返せば昨シーズン（2022－23）も、日本代表でいい結果を残したことがネブラスカでの好調に繋がったように思う。ネブラスカで最後となる今シーズンも、ワールドカップでの経験を活かして飛躍の一年にしたいものである。

　もちろん、NBAプレーヤーになるという最終目標は変わっていない。マーチ・マッドネス出場はあくまでその通過点だ。

　背の低い僕がこの目標を達成するには、オフェンスでスペシャルな選手になるしかないだろう。得意のシュートに加えてドリブルやパスも磨き、オフェンスに与える影響力をより拡大させるつもりだ。

アウトサイド以外のオフェンス力もアップした富永。昨年テストマッチで戦ったフランスとはパリでも激突予定　©︎Kiichi Matsumoto

　もしかしたら今シーズンのNCAAでは、スター河村よろしく腕で味方のスクリーンを振り払う姿をお見せすることになるかもしれない。