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高校生から「岡ちゃん」と呼ばれ…岡田武史67歳がFC今治高で“授業”するワケ「富の再配分と直接民主主義…これが生きる道だと俺は思っていて」
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakashi Shimizu
posted2024/07/24 17:04
FC今治会長であり、FC今治高校里山の学園長を務める岡田武史。開校3カ月を迎えたFC今治高校での日々を語った
「(試験の)最後に30何人が車座になって一人ひとり意気込みを語るんだけど、人とのコミュニケーションが苦手な子がいて、2分間くらいなかなかしゃべることができなかった。でもそうしたらみんなが『頑張れ、頑張れ』ってね。そうしたらその子がボソッと『こんな自分を変えたいんです』と言ったらスタンディングオベーションが起こったんだよ」
お互いを認め合い、力を合わせていく光景がそこにはあった。
授業もユニーク
無論、授業も目的に沿った内容となっている。
教科の必修授業は午前が中心になっていて、午後は実学をメインに置く。少人数で地域に出て学ぶ「里山未来創造探究ゼミ」、農業体験や地場産業体験などの「ヒューマンディベロップメントプログラム」、エポックメーカーによる特別講演・ワークショップの「ヒストリック・キャプテンシップ養成講座」などユニークなものが多い。
共助のコミュニティづくりを目指すことで、学校から出て地域、人との積極的な交流が目立つ。漁業体験をさせたのち、10人ほどの生徒たちが自主的に早朝の港で手伝いをしていたことが岡田の耳に入ってきた。田植えもやる、企業の支援を受けながら空き家の改修もやる、野外体験もやる。2年生になれば、生徒たちが中心となって株式会社を立ち上げるプランも進めている。
「新しいコミュニティづくりなんだから、学生みんなで考えてやっていかないといけない。だから株式会社の勉強もやっておけよとは伝えてる。みんなで役員を決めて運営していくんだぞ、と。そうしたらいろんなところに自分たちで出向いて勉強している。まあ、授業をしてもらった青野慶久さん(サイボウズ株式会社代表取締役社長)にプログラミング部の顧問を、新井和宏さん(非営利株式会社eumo代表取締役)に投資部の顧問を勝手にお願いしたと聞いたときはびっくりしたけど(笑)」
生きた実学を
環境問題に取り組む学園長自ら授業も行なっている。自然との共生をテーマに置く公園にみんなで出向き、地球がたどってきた歴史を自分の言葉で語っている。