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結婚発表翌日、町田浩樹26歳に直撃「めっちゃ大変でしたよ」6年半かけて早大卒業…日本代表DFの文武両道記「特に芸術系の授業ですね」 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph byShigeki Yamamoto

posted2024/07/14 11:06

結婚発表翌日、町田浩樹26歳に直撃「めっちゃ大変でしたよ」6年半かけて早大卒業…日本代表DFの文武両道記「特に芸術系の授業ですね」<Number Web> photograph by Shigeki Yamamoto

日本代表DFの町田浩樹。結婚発表翌日のタイミングでインタビューに応じてくれた

 通信課程では、この時期に1年の授業のしめくくりとして数多くの論文を提出しないといけない。しかしJリーガーとしては、プレシーズンキャンプに参加する時期だ。シーズン前のキャンプは、長いシーズンを戦い抜くための体力作りの場でもある。身体を徹底的にいじめ抜くようなメニューが用意されている。

 そんなトレーニングを終え、身体も心もヘトヘトになりながら、パソコンに向き合わないといけない。同期の選手たちが疲れをとるために温泉につかったり、身体を休めたりする中で、町田はキーボードを叩いていた。さすがにこの時期は辛かった。

初動負荷理論に心理学は面白い…でもノートは

 在籍した人間科学部には、スポーツに打ち込む学生に興味があるようなテーマも多く用意されているし、授業の科目もバラエティに富んでいる。トレーニングにも生かせるような初動負荷理論や、集団生活をする上で参考になりそうな心理学など、プロアスリートとして興味が持てるようなテーマはそれなりにあった。

 実際、積極的に勉強したのはプロサッカー選手としての活動につながるものだった。卒業論文のテーマは、〈サッカー選手のGPSデータとハムストリング(太ももの裏にある筋肉)の肉離れとの相関関係があるかどうか〉の考察だった。論文を書くうえで先行研究に目を通していると、FIFAが発表するW杯でのケガに関するデータに触れる機会もあった。詳細なものは「もしもフィジカルコーチになるならば役に立つようなもの」であり、今すぐに活用できるようなものではないが、知っていて損するものでもなかった。

 一方で、町田には一般の大学生にはないようなハンデもあった。

 普通課程の生徒であれば、普段の授業に出ていなくても、テスト前に同級生からノートを借りたり、先輩から過去問をもらったりできる。しかし、町田は通信課程の生徒だ。同級生と並んで授業を受ける機会などない。だから、全ての授業に独力で向き合う必要がある。もちろん手抜きもできない。

「さすがに建築の授業などはキツかったですね」

 苦笑まじりに振り返る。

「芸術系の授業が特に面白くて」オフに直島へ

 ただ、思わぬ分野との出会いもあった。その出会いがきっかけで、好奇心旺盛な町田は“学生時代”に、オフシーズンを利用して、香川県の直島を一人で訪れたこともあった。

【次ページ】 人生の伴侶を得た今、好奇心はピッチでも生きる

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