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結婚発表翌日、町田浩樹26歳に直撃「めっちゃ大変でしたよ」6年半かけて早大卒業…日本代表DFの文武両道記「特に芸術系の授業ですね」
posted2024/07/14 11:06
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Shigeki Yamamoto
あなたにもしもプロサッカー選手の子供がいたら、きっと彼は自慢の息子だろう。
つい先日、結婚を発表した町田浩樹は、現在の日本代表で“唯一の”大卒組だ。
「めっちゃ、大変でしたよ」
カラッとした笑顔とともに、町田は当時を振り返る。相手のドリブルやクロスに対応したり、攻撃でも前にいる味方選手をサポートするために泥臭く走り回るのがディフェンダーだ。そんなポジションの選手らしく、明るい口ぶりだった。
勉強するために早稲田大学に入学した
日本代表の歴史に詳しい人ならば、Jリーグ誕生に伴い一時は減少した大卒選手が、近年になって再び増えていることを知っているかもしれない。守田英正や三笘薫などは、高卒後すぐにJリーグ入りした選手がプロの壁に直面している期間に、大学で成長を遂げた。そして、プロ入り後すぐに主力となり、現在は海外で活躍している。
町田が守田と三笘らと違うのは、大学のサッカー部に所属したわけではないことだ。サッカーをするためではなく、勉強をするために大学生になった異色の経歴の持ち主である。
名門鹿島アントラーズのユースチームを経て、高校卒業に合わせてトップチームに昇格した。このタイミングで早稲田大学の通信教育課程に入学した町田は、6年半かけて、2022年に卒業した。
ほめられるほどのことではないんです、と町田は謙遜して、こう明かす。
「当時の僕は大学に行く気がなかったんですよ」
きっかけは、親からの提案だった。
「こちらでお金は出すから、せめて大学くらいは……」
愛する子どもが大学に通えるように資金を準備し、万が一のことを考える……。町田は16歳のころから、年代別の日本代表の常連だった。それでも、彼の親はサッカー選手で大成できなかった時のことまで考えていた。それが親の愛というものだ。町田自身も高校での成績は良い方で、勉強するのが嫌いではなかったから早稲田の門をたたくことにした。
ただ、この決断に異を唱える声も聞かされた。
「両立なんて無理だよ! 中途半端な覚悟では大成しないよ」
というのも、2008年頃からそれなりの数のJリーガーが通信課程で入学してきたものの、卒業できない選手が大半だったからだ。勉強によほど興味があるか、スケジュール管理をしっかりできる人間でないと、卒業するのは簡単ではない。
キャンプで体をいじめ抜く期間に論文提出が
町田も、毎年1月から2月ころには「本当にキツいわ」と感じることが多かった。