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パリでの戦いに挑む、U-23サッカー日本代表、なでしこジャパンをサポート。子どもたち、そして未来へと夢をつないでいく三井不動産の挑戦。
posted2024/07/18 11:00
text by
福田剛Tsuyoshi Fukuda
photograph by
JFA
7月3日、パリ2024オリンピックに挑む、U-23サッカー日本代表のメンバーが発表された。記者会見に臨んだ大岩剛監督は記者からの「このチームの強みは?」という質問に「アジアカップで勝ってそれぞれが成長し、自信と責任を持って臨めると思う。その一体感を強みとして大会に向かっていきたい」と力強く語った。
振り返ってみると、この世代は常に逆境にさらされてきた。
チームの中心となる細谷真大や山本理仁、藤田譲瑠チマの世代は、新型コロナウイルスの影響でU-20W杯が中止になり、アジア予選さえも経験できなかった。その下の世代の高井幸大は、U-20W杯に参戦したものの、グループステージで敗退。国際舞台で修羅場をくぐった経験が圧倒的に少ないために、パリ2024の出場権獲得すら危ぶまれたこともあった。
しかし、アジア最終予選となったU23アジアカップ カタール2024では、下馬評を撥ねのけ、チームとして大きく成長を遂げた。そのターニングポイントとなったのが、準々決勝だ。開催国カタールとの対戦は完全アウェイで行われた。退場により1人少なくなった相手に、一時は逆転を許しながらも、必死で追いつき、延長で勝利をもぎ取った。“負けられない戦い”を制し、勢いにのったチームは、準決勝でイラクを撃破し、パリ2024の出場権を獲得。さらに決勝でもウズベキスタンを破り、2016年大会以来となるアジアチャンピオンに輝いた。
北京2008大会以来、16年ぶりにオーバーエイジなしで本大会へ挑むこととなったU-23サッカー日本代表。大岩監督は「パリオリンピック本番でファイナルに進む。そのターゲットに向けてこの2年半活動してきました。このメンバーでファイナルに進む。そして金メダルを奪う」と決意を語った。この言葉を実現するためには、U23アジアカップ以上の成長が求められる。しかし、U-23世代ではひとつのゴール、ひとつのプレーをきっかけに急激に成長を遂げる瞬間がある。そして、幾多の逆境を乗り越えてきたこの世代だからこそ、大きな可能性を秘めている。
かつて、オリンピック経由A代表行きと言われた時代は終わりを迎えつつある。それでもパリ2024がSAMURAI BLUEへの登竜門であることは間違いない。
パリでメダルを手にするために、そしてSAMURAI BLUEへの切符を手にするために。7月24日、逆境世代の新たな挑戦が幕を開ける。
世界一から13年、再びなでしこジャパンが金メダルに挑む
なでしこジャパンは、ロンドン2012では銀メダルを獲得したものの、それ以降オリンピックの舞台では苦しい戦いが続いてきた。リオ2016ではアジア予選でまさかの敗退。東京2020では、1次リーグこそ突破したものの、ノックアウトステージ初戦の準々決勝(ベスト8)で姿を消した。かつて世界を驚かせた、強いなでしこジャパンの姿はそこにはなかった。
その状況を変えたのが、監督の池田太だ。2017年以降、U-19、U-20のサッカー女子日本代表監督を務め、2018年のU-20女子ワールドカップでは優勝、2022年には準優勝に導いた。昨年7~8月に開催された女子ワールドカップ オーストラリア&ニュージーランド2023ではグループステージで強豪スペインを4-0で撃破、準々決勝(ベスト8)まで進出。MF長谷川唯を中心とした華麗なパスワーク、そして縦に早い速攻。対戦相手によって戦術を使い分けるプレースタイルは世界を虜にし、なでしこジャパン復活を大いに印象づけた。