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核心にシュートを!BACK NUMBER
バイエルン伊藤洋輝の才能を日本代表でどう生かすか…「良さを知ることは大事ですから」守田英正が考えたこと「そこにトライしないと」
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byJFA/AFLO
posted2024/07/04 11:01
バイエルン加入が決まった伊藤洋輝。守田英正はどのように生かそうとした?
伊藤が新たに所属するバイエルンは、かつて監督を務めたグアルディオラの推薦などもあり、コンパニが監督を務める。コンパニ新監督が目指すのは、ポゼッションサッカーだ。それを実現するため、シュツットガルトの中心として躍動した伊藤に白羽の矢が立った。
伊藤は新シーズン、コンパニのもとでさらなる成長を遂げるはずだ。そんな伊藤の良さをチームに還元するため、守田は頭をフル回転させて最適解を提示した。そして最終予選でも、伊藤がバイエルンで学んだことを還元したとしても何ら不思議ではない。
頼もしいのは、守田がそのアイデアを決して企業秘密にしないことだ。ピッチの外から見た意見を、ポジションの重なる田中碧に伝えていったように――守田は自身の頭脳をチームのために活用している。
日本がもう1つレベルを上げるには、トライしないと
守田に聞くべきだと考えた2つ目のテーマが、W杯最終予選における目標設定である。彼に問うと、こんな答えが返ってきた。
「前回は初戦でオマーンに負け、難しい最終予選を強いられたことを鮮明に覚えています。今回もW杯の切符獲得は絶対的な目標なので、そこを間違えてはいけないです」
そう断ったうえで、守田はこう強調する。
「自分の意見を言わせてもらえるなら、アジア予選と本大会で同じ狙いを持ち、同じようなサッカーをしたい。本大会で相手が格上だからといって、カウンター1本で勝負するのは、勝つ確率を上げるという意味では間違いないのかもしれないですけど……。
今後、日本サッカーがもう1つレベルを上げるには、そこにトライしないといけない。これまでは(アジア予選と本大会での)一貫性はあまりなかったと思うんですよね。だから、結果を残すのはもちろんですけど、どんな相手にも通用するような、一貫性のあるサッカーや土台のようなものを作りたいんです」
興味深いのは、守田がロジカルな思考――伊藤との意見交換に代表されるように――をしつつも、日本サッカーの未来のためにという大義を胸に秘めていること。カタールW杯でクロアチアに敗れた直後、次の北中米W杯に向けて、こう語ったのは嘘ではなかった。
「1日も無駄にできない」
守田は有言実行を貫こうとする、日本代表のリーダーの一人なのだ。
<第1回からつづく>