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「松木玖生、まさかのパリ五輪落選」ざわついた会見場…そのとき現場で何があった? 山本昌邦「移籍の可能性がある」“フライング発言”のウラ側
posted2024/07/04 17:01
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
JIJI PRESS
いつもとは明らかに違う空気が、記者会見場を包んでいた。
パリ五輪に臨むU-23日本代表のメンバーが、7月3日に発表された。U-23日本代表の五輪でも、日本代表のW杯でも、大会に臨むメンバー発表の記者会見は独特の雰囲気が漂う。「誰が選ばれるのだろう」という期待感が折り重なり、会場全体が熱を帯びていく。
この日も期待感はあった。熱量もあった。ただ、日を追うごとに厳しさを増していったオーバーエイジの招集がどうなったのか、おそらくは招集できないのではといった割り切りや諦めのようなものが、この日は色濃かった。
読み上げられた名前は鈴木彩艶ではなく…
山本昌邦ナショナルチームダイレクター(ND)の挨拶に続いて、大岩剛U-23日本代表監督がマイクに向かう。手元のプリントを見ながら、GKからひとりずつ発表していく。
最初に名前を呼ばれたのは、小久保玲央ブライアンだった。続いて読み上げられた名前が、その後のメンバーを示唆する。小久保と定位置争いを繰り広げてきた鈴木彩艶ではなく、野澤大志ブランドンだったのだ。
鈴木には移籍の噂がある。現所属のシント・トロイデンが五輪出場にGOサインを出しても、新たな所属先が招集を認めない可能性がある。何よりも、新天地を選んだ選手がプレシーズンのキャンプなどに合流できないのは、キャリアにとってマイナスでしかない。
遠藤航らOAの不在は「現実的な選択」か
その後、DF登録の選手として関根大輝、半田陸、大畑歩夢、高井幸大、木村誠二、西尾隆矢の名前が読み上げられる。オーバーエイジはひとりもいない。招集が噂された谷口彰悟、町田浩樹、板倉滉は、所属クラブとの調整がつかなかったか、移籍の可能性があることによる招集の回避だったのだろう。
MFは藤田譲瑠チマ、山本理仁、川﨑颯大、三戸舜介、荒木遼太郎の5人だった。一時はオーバーエイジの有力候補と見なされた遠藤航の名前はない。リバプールとの調整がつかなかったと考えられる。新監督のもとでリスタートを切るチーム事情を踏まえても、遠藤のオーバーエイジ回避は現実的な選択と言うことができた。