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核心にシュートを!BACK NUMBER
バイエルン伊藤洋輝の才能を日本代表でどう生かすか…「良さを知ることは大事ですから」守田英正が考えたこと「そこにトライしないと」
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byJFA/AFLO
posted2024/07/04 11:01
バイエルン加入が決まった伊藤洋輝。守田英正はどのように生かそうとした?
22-23後半戦:センターバック部門 10位(チームの順位は16位)
23-24前半戦:サイドバック部門 4位(チームの順位は3位)
23-24後半戦はEURO後に発表予定だが、シュツットガルトが2位になったため、上位に入るのはほぼ確実。一方で日本代表では、この1年でスタメン出場数がベンチスタートを上回ったくらいで、絶対的なレギュラーではない。
洋輝の良さを知っておくことも大事です
その中で、守田に聞きたいことがもう1つあった。
伊藤が日本代表で最も長所を発揮した試合となったのは、アジアカップのベトナム戦だった。後半を迎える前、ハーフタイムに守田が“あるアイデア”を提示していたからだ。
日本は前半、マイボール時に〈4-1-4-1〉のような形でプレーしたが、守田はこんな風に感じていた。
「(アンカーの遠藤)航が右に行くことがあり、誰が左ボランチのところに入るのかと(見て)みてもいなかったので。僕が高い位置を取ったとしても、結局(左ボランチに)降りないといけない。そこで僕が降りると、次は左インサイドハーフに人がいなくなり……」
そこで守田は伊藤と話し合い、こう提案した。マイボール時には、それまで左サイドバックにいた伊藤が中寄りのポジションを取り、守田自身は伊藤の前寄りになる〈3-2-4-1〉のような形にするのはどうか、と。
「あのポジションをサイドバックの選手が取ってくれると、次に(トップ下・右寄りのポジションに移った南野)拓実が開くので、相手は前に出てこられなくなる。彼のところに相手選手がついてきたら、今度は(右ボランチのようなポジションになった)航が空くので」
伊藤と自身の立ち位置を調整することで、チームは機能し、伊藤も躍動した。そんな最適解を瞬時に見つけられたのはなぜか。改めて守田に問うと、こんな答えが返ってきた。
「(伊藤)洋輝はクラブでも、リーグでも評価が高い。でも、それを代表に上手く落とし込めていないなら……もちろん彼にも課題があるでしょうけど、周りにも課題があるということだから。彼の良さを知っておくことも大事です。
実際(6月6日の)ミャンマー戦のように、3バックの(リベロの)脇でドシッと構える方がビルドアップしやすいんだと思います。彼もあのポジションがやはり1番やりたいんだろうし、彼本来の動きが生きる。僕としても彼があそこにいてくれるからフリーになれる。(ポイントは)彼をなるべく内側で使ってあげたいという考えからです」
守田はアイデアを企業秘密にしない
チームメイトの強みを冷静に判断し、相手の立ち位置や戦い方を見て、最適解を導き出す。そんな守田の特長と伊藤の能力が化学反応を起こしていた。