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「守備なら富田のほうが…とか」男子バレー“わずか12名”熾烈な五輪メンバー競争の舞台ウラ「正直に言うと、きつかった」大塚達宣の決意表明
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byTakahisa Hirano
posted2024/06/26 17:00
パリ五輪メンバーの12名に選出された大塚達宣(23歳)
フィリピンラウンドに先立って行われた福岡ラウンドの最終日。スロベニアに3対1で勝利した後、大塚が述べたのは勝利したことの喜びだけでなく、ここまでたどり着いた嬉しさと、その陰に抱えてきた苦悩だった。
「正直に言うと、ここまでめちゃくちゃきつかったです。特に(福岡の前の)ブラジルラウンドが近づくにつれて、6対6のメンバーも固定される中、自分は入れずにいた。焦りもあったし、どこかで『外れるかもしれない』という覚悟もありました」
イタリアリーグのプレーオフ出場で合流が遅れた石川と高橋藍は、ブラジルラウンドに帯同しなかった。そのため、アウトサイドヒッターの4名の候補から2名をブラジルでの4戦でセレクトすることは事前に伝えられていた。
世界ランキングを維持、向上させるために負けられない試合であると同時に、大塚や富田を含めたアウトサイドヒッターの選手たちにとっては、最初の関門とも言うべき戦いでもあった。
「甲斐を見て、びっくりしました」
まず、結果を出したのが甲斐と富田だ。アルゼンチンとの初戦にスタメン出場すると、甲斐は主に攻撃面で、富田は攻守にわたってチームを勝利に導く活躍を見せた。ブラン監督がネーションズリーグの中でも最重要と位置付けたアルゼンチン戦の勝利は喜ばしい結果だったが、ポジション争いに身を置く選手たちには、手放しには喜べない複雑な感情が芽生えていた。大塚が回想する。
「甲斐を見て、びっくりしました。パスがどんどんよくなっているのもあるんですけど、崩れても自分でハイボールを呼んでブロックをぶち破る。こういうタイプの日本人選手って今までいなかったと思うし、彼も彼なりのスタイルをブラさず表現し続けた。コミュニケーションの面でも、去年までは『大丈夫か?』と思うこともあったんですけど、今年はよくしゃべるようになった。こんなに変わるのか、とびっくりしました」