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「決勝に行くぞ」石川祐希はなぜ“ギアを上げた”? 心配になるほど吠えた主将が植え付けたかった頂点のイメージ〈男子バレー五輪メダルの序章〉
posted2024/07/02 11:09
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Volleyball World
バレーボールネーションズリーグで銀メダルを獲得した男子日本代表。パリ五輪の前哨戦とも言える大会で、主将・石川祐希(28歳)が最後まで“頂点”にこだわった理由とは?
「悪い……」
そう謝りながら、石川祐希(ペルージャ)は選手たちの輪に加わった。
第4セット23-25。最後は石川のライトスパイクがフランスの強固なブロックに阻まれ、メダルの色が“銀”に決まった。
7月1日(日本時間)まで開催されたネーションズリーグ(以下VNL)で、日本代表は初の決勝進出を果たした。主要な世界大会では1972年ミュンヘン五輪以来52年ぶりの快挙だ。その決勝で、主将の石川はフランスの徹底マークにあいながらもチームトップの17得点を挙げ、大会のベストアウトサイドヒッターにも選出された。
だが試合後のテレビインタビューでは、「チームを最後勝たせられなかったのが非常に悔しいです。4セット目の最後も僕がシャットを食らったり、その前も決めきれなかったり」と悔しさをにじませた。
それでも、やはり頼れるキャプテンだと知らしめたファイナルラウンドだった。
今の日本代表は決して石川頼みではないが、やはりここぞという大一番での存在感は抜群だ。ファイナルラウンド準々決勝以降は明らかにギアが一段上がっていた。勝負所でスパイクやサービスエースを決めて流れを力ずくで引き寄せる。得点を決めると、腕がもげそうなほど激しくぶん回してガッツポーズし、吠える、吠える。大会初の決勝進出に向けた思いの強さが見てとれた。