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DeNAドラ1遊撃手が“ショート一筋”をあきらめた日「正直ちょっと悔しい気持ちはありました」…森敬斗22歳が語る、5年目の変化 

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石塚隆

石塚隆Takashi Ishizuka

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photograph byJIJI PRESS

posted2024/06/17 11:00

DeNAドラ1遊撃手が“ショート一筋”をあきらめた日「正直ちょっと悔しい気持ちはありました」…森敬斗22歳が語る、5年目の変化<Number Web> photograph by JIJI PRESS

2019年ドラフト1位で指名され、内野手のゴールデンルーキーとして注目を集めた森敬斗。今季、起きた変化とは――。

「自分は(森)敬斗が守備に入っているとむちゃくちゃ安心するんですよ。実際に試合では助けられていますし、あの肩と守備力はピッチャーから見ても相当でかい。深いところに打球が飛んでも敬斗ならアウトにしてくれるっていう部分で投げる上で心理的にも楽だし、安心材料になるんです」

 森は、昨年夏にやってしまった右手有鉤骨の骨折の影響もあり春季キャンプはB班(奄美)スタートだったが、そこで万永貴司野手コーディネーターやファームの柳田殖生内野守備走塁コーチ、藤田一也育成野手コーチのもと守備を徹底的に磨いた。それは森にとって非常に充実した時間だったという。

本職以外のポジションにも挑戦

 そして森にとって大きな出来事といえば、入団以来ショートしか守ってこなかったが、新たにセカンドやサードの守備にも入るようになったことだろう。誤解を恐れずに言えば、森は“聖域”をはく奪された。

 チームからその旨を伝えられたのは昨年末のことだったというが、果たして森はその時に何を思ったのか。そう尋ねると、森は宙を睨みゆっくりと語りだした。

「ずっとこだわってショートをやってきたし、守らせてもらっていたので、最初にチームの方針を聞いたときは、正直ちょっと悔しい気持ちはありました」

 少しだけ重い口調。だが森は目に力を入れて続けた。

ショート以外を守って見つけた「副産物」

「ただ、違うことをやることでいいことも一杯あるんじゃないかなって思ったんですよ。だからオフからショート以外の練習を始めましたし、実際にセカンドやサードの守備に入ると新しい感覚がたくさんあったんです。動作ばかりではなく、守備で見える視野というか、バッターの見え方が違って、例えばセカンドから自分と同じ左バッターを見ると肩が閉じていればやっぱりいい打球が行くし、開いてしまって体がこちらに向けばセカンドにゴロが来る。これは自分の学びにもなるし、またセカンドでゲッツーを取ろうとする時に体が流れると投げられないので、ショートでも流れない入り方ができればより確実性が増すなとか、新しいインプットや刺激が結構あるんです」

 どこか明るい表情で森は話した。そこには好奇心と、なにがあってもへこたれないといった芯の強さが感じられた。

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