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DeNAドラ1遊撃手が“ショート一筋”をあきらめた日「正直ちょっと悔しい気持ちはありました」…森敬斗22歳が語る、5年目の変化
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byJIJI PRESS
posted2024/06/17 11:00
2019年ドラフト1位で指名され、内野手のゴールデンルーキーとして注目を集めた森敬斗。今季、起きた変化とは――。
京田、林、石上…内野手が新加入
振り返れば、森は2019年のドラフト会議で球団にとって筒香嘉智以来となる、10年ぶりの高卒1位指名の野手である。当然、多大の期待を背負ってきたが、非力さに加え怪我も重なりなかなか戦力になることができず、球団は森とポジションがかぶる京田陽太や林琢真、石上泰輝らを獲得してきている。
「正直、誰が来ようが関係ないって気持ちなんです。なによりも自分が結果を残せていないのが悔しい。自分がやることをやっていればおのずとレギュラーは獲れるはずだと思ってやってきたし、だから他人は気にせず、惑わされることなく、自分自身に目を向けることだけを意識してきました」
だから春季キャンプが若手ながらB班スタートでも焦ることはなかった。
「怪我もあったので、いきなり上で力んで急いでやるよりは、自分と向き合い時間を作ったほうがいいですし、B班だからこそ、じっくりやり込むことができたと思うんです」
ただ高卒とはいえプロ5年目、悠長にしているわけにはいかない。
ただがむしゃらにやるだけじゃダメ
「もちろん入団からずっと急いでいるし、戦力になりたいと思って日々過ごしてきました。ただ怪我もありましたし、大事なのは自分のやるべきことを、自分のペースでやることだと思うんです。この数年で気づくことも多かったですし、ただがむしゃらにやるだけじゃダメなんだなって」
多少のジレンマは漂うが、確たる割り切りに加え、どこか森は楽しそうに話すのだ。ふと思い出したのが、森が以前「野球はあまり好きじゃない」と公言していたことだ。確かに野球は失敗も多いスポーツだ。いくら優秀な打者でも3打席に1本しか安打が出ず、優勝をするチームも約6割しか勝てない。喜びよりも悔しさ。すべてが万事上手く行くスポーツではない上に、練習もきつければ、年間の試合数を考えてもハードワークが必要となる。素直な性格の森がそう言う気持ちもわからなくもない。
一番バットを振ってきた自信もある
だが、何か変化が起こっている。