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サンフレッチェ新スタジアム「ピースウイング広島」は目が潤むほど最高の立地かつ環境…ファンはもちろん全利用者目線で魅力だらけ〈現地探訪〉 

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飯尾篤史

飯尾篤史Atsushi Iio

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posted2024/02/29 17:29

サンフレッチェ新スタジアム「ピースウイング広島」は目が潤むほど最高の立地かつ環境…ファンはもちろん全利用者目線で魅力だらけ〈現地探訪〉<Number Web> photograph by Atsushi Iio

市街地に建った「エディオンピースウイング広島」。サンフレッチェの新本拠地を様々な角度から探訪してみた

 おすすめのミュージアムは1階にある。入口にはサンフレッチェのレジェンドたちの巨大壁画。先に進むと、大型スクリーンに広島サッカーの歴史を振り返る映像が流されている。原爆によって廃墟となった街が復興し、まさにその場所に、平和の象徴であるこのスタジアムが建てられたことがわかる。

 さらに、名シーンの写真とともにクラブ史を振り返るコーナーや歴代ユニフォームの展示コーナーに加え、シュート、ドリブル、パスの3種類のプレーにチャレンジできる体験コーナーもある。映像のGK相手にPK勝負をしてみたり、人工芝の上でコーンドリブルをしてみたり、指示に従ってパス&コントロールをしてみたり、これが意外と難しい。

入場前から、あまりの素晴らしさに目が潤んだ

 喜ばしいことに、近年は日本にも球技専用スタジアムが増えてきた。そのどれもが素晴らしいものばかり。パナソニックスタジアム吹田で初めて取材したときは、このレベルのスタジアムが日本にできたことに感激したし、ミクニワールドスタジアム北九州を初めて訪れたときは、思わず「おおっ」と唸っていた。サンガスタジアム by KYOCERAの記者席に初めて座ったときは、「最高じゃん!」と心の中で叫んだものだった。

 エディオンピースウイング広島は、スタジアムの中に入る前の段階で、感動して気持ちがたかぶってしまった。建設までの紆余曲折の道のりも聞いていただけに、あまりの素晴らしさに目が潤んだ(こうやって書くと、なんでもかんでも感動しているようだが、国立競技場にはまったく感動しなかった)。

観客、メディア…利用者全員の目線に立っている

 翌日2月23日は待望の開幕戦。スタジアム周辺は紫と赤のファン・サポーターで溢れていた。

 メディア入口の場所も分かりやすかったが、それ以上に嬉しい驚きは動線の良さだ。報道受付の目の前に記者控室があり、その隣が会見場、さらに隣にミックスゾーンが設けられていて、とんでもなく移動がしやすい。

 実は、記者控室、会見場、ミックスゾーンがあちこちに散らばっているスタジアムは少なくない(もちろん、建物の構造上、仕方のない面もある)。異なるフロアにあったり、反対サイドにあったりするから、行き来するのに時間を要し、監督会見を終えてからミックスゾーンに向かっても選手取材に間に合わないことだってある。

 会見室が横に広い構造となっているのもヨーロッパ風。日本のスタジアムの会見場は縦長のことが多く、後方に座ると、監督の表情の変化がまるで見えなかったりする。

 観客目線だけでなく、メディアを含めた利用者すべての目線に立ってディテールにこだわっていることが感じられ、これは本当にプロフェッショナルの仕事だと感嘆せずにはいられなかった。

【次ページ】 カープ本拠地とともに“日本一のスポーツ観戦環境”

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