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格闘技PRESSBACK NUMBER
「熊出没注意」の山道を駆け抜け…“減量しない格闘家”手塚裕之はなぜ我流トレーニングで強くなれたのか?「そもそも格闘技って非合理的なもの」
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph byNumber Web
posted2024/02/16 17:16
富士山ならぬ「ふじやま」をバックにポーズを決める手塚裕之。自然を利用したトレーニングで野生の勘に磨きをかけている
「めちゃくちゃ奥が深い」伝統派空手から得た学び
一昨年から空手も習い始めた。堀口恭司のベースとなっている伝統派空手の一期(いちご)倶楽部を主宰していた故・二瓶弘宇氏の長男である卓郎氏が、宇都宮に『弘仁会 二瓶道場』を出したので、そこに通い始めたのだ。
「最初は(MMAで堀口が使っているような)伝統派特有の出入りの速さなどを学べればいいと思っていました。でも、いざ入門してみたら伝統派は駆け引きとか、めちゃくちゃ奥が深い。だからMMAに使えるか否かは考えないで一度教わってみて、それを自分の中でアジャストさせられるかどうか、という感じでやっています」
その効果は、昨年10月のジン・テホ(韓国)戦で早くも現れた。
「二瓶道場で習ったステップでタックルをとれるようになったんですよ。相手の動きもよく見えるようになり、バックステップも速くなった。MMAでは伝統派の動きがレスリングの動きにも活きることを学びました」
2月17日には、いまやONE Championshipの拠点となったタイの首都バンコクでの定期戦『ONE Fight Night 19』でアブラーモ・アモリム(ブラジル)と対戦する。去る1月28日のONE日本大会では秋山成勲との対戦を希望していたが、秋山はオランダのキックボクサーとミックスルールで闘うことが決定したため叶わぬ夢に終わった。しかしすぐに次戦のオファーが舞い込んできたため、気にする素振りはない。
「タイには練習や試合でもう4回ほど訪れています。ムエタイも好きだし、気候も暖かくて海もあるので場所的には好きですね。でも食事だけは……。タイ料理の味は好きなんだけど、行くたびにお腹を壊してしまうんですよ(笑)。だから今回も試合前までは、食事はホテルで済ますようにしようと思っています」
ジャパニーズ・ビーストも人の子。タイ特有の香辛料にだけは弱かったか。
<前編から続く>