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3回目のマラソンでパリへの切符を獲得。大学まで無名だった赤﨑暁が、いま世界を相手に戦える理由とは?
text by
林田順子Junko Hayashida
photograph byShunsuke Mizukami
posted2024/02/07 11:00
MGCで多くの課題が見つかったという赤﨑は、今後、世界と戦うために、さらに強度の高いトレーニングに臨んでいく。
「ニューヨークシティハーフに出場したときは、5km付近で離されて、何も勝負ができないまま終わってしまいました。MGCも2位には入りましたが、ただついていって、ラストに出ただけ。これまで勝ったレースと同じ展開なんです。正直、今の僕には世界と駆け引きできる能力はないと思っていますし、MGCで自分はまだ強い選手ではないと実感したので、一皮剥けるためにもそれ以外の勝ち方を見つけていかないといけないでしょう」
赤﨑がニューバランスを選ぶ理由
大学4年で世界を目指すと決意し、日本代表を手に入れるまで、赤﨑がパートナーとして選び続けてきたのがニューバランスだ。
「僕は蹴り出す力が強いので、あまりに柔らかいソールだと沈み込みすぎてしまい、うまく反発を得ることができない。別のシューズも履いたことがあったのですが、レース途中で脱げてしまったこともあって、一時は自分に厚底は合わないのではないかと思っていました。そんな時にニューバランスからカーボンプレートの入ったFuelCell 5280が発売されたんです。柔らかすぎず、蹴り出した分だけしっかりと返ってくる手応えがあって、ミッドフット着地の僕のフォームともマッチして、初めて履いたときに、これまでで一番いい走りができたと実感した。この走りができれば、トップレベルで戦えるかもしれないと思ってからは、ニューバランス一筋です」
一部の陸上ファンの間では、赤﨑のニューバランス愛は有名。レース後には自ら両手でNマークを作り、ブランド愛をアピールしているほどだ。
「実は一度調子が上がらないときに、周りの勧めで違うシューズでレースに臨んだことがあったんです。でも結局成績も振るわなくて。やっぱり僕にはニューバランスしかないと思っています」
パリ五輪は「五輪史上最も困難なレース」
現在は、速いスピードのジョグでは適度に硬さのあるFresh Foam X1080 v13を、疲労抜きやつなぎのジョグではフォームの柔らかなFresh Foam X Moreを、ポイント練習やペース走、レース前のアップにはFuelCell Rebel v3を愛用している。
「練習のときにカーボンプレートに頼り切るのも良くないと思っていて。Rebelは他のモデルよりもソールが薄くてスピードが出しやすいので、3分30秒ペースで30km走などをするときに履いて、足づくりをしています」
そしてMGCで履いていたのがFuel Cell SC Elite v4だ。後半の競り合いでのスピードの切り替えや、アップダウンなどの路面の変化にも素早く反応し、安定して走ることができ、「v3よりもソールの硬さが少し増して、沈み込みが少なくなり、よりスピードが出しやすくなったと思います。それでいて衝撃もしっかりと吸収してくれるなど、進化を感じています」と言う。
一方、パリ五輪のマラソンコースは、オペラ座やベルサイユ宮殿、凱旋門など、パリの名所を辿るルートとなっているが、起伏に富んでいて「五輪史上最も困難なレース」とも言われている。
「11月に試走に行ったのですが、想像以上にアップダウンの激しい難しいコースでした。ただ、その分高速レースにはならないはずで、日本人にも十分勝機はあると思っています」
闘志を燃やしつつも「自分はひっそりとやっていくだけです」とシャイな一面もみえた赤﨑。パリ五輪のアップダウン対策として、2月18日には青梅マラソンで優勝を狙う。そしてパリでの目標は入賞だ。
「パリまでは多分坂道をたくさん登らされるんだろうなと思っていますが(笑)、良い成績を残して、僕をここまで連れてきてくれたニューバランスに恩返しがしたいと思っています」
ニューバランスの新作シューズ
FuelCell SC Elite v4
湾曲させたカーボンファイバープレートを搭載し、前方向への反発弾性を最大限に高めながら、軽量化も実現。高速レースや記録更新を狙うランナーに向けた最新モデル。29,700円(税込)
【問い合わせ先】ニューバランスジャパンお客様相談室 0120-85-7120