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「中高生の憧れ」“世界”の田中希実、じつはインターハイ優勝経験がなかった! 全国女子駅伝に向けて「憧れるのはいいと思うんですけど…」 

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及川彩子

及川彩子Ayako Oikawa

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posted2024/01/13 17:00

「中高生の憧れ」“世界”の田中希実、じつはインターハイ優勝経験がなかった! 全国女子駅伝に向けて「憧れるのはいいと思うんですけど…」<Number Web> photograph by AFLO

2023年9月のダイヤモンドリーグ5000mで14分29秒18の驚異的な日本記録を出した田中希実。14日の全国都道府県対抗女子駅伝に兵庫県代表として2年ぶりに参加する

 1990年代から高校駅伝に力を入れる私立の高校がケニアなどから留学生を招聘し、駅伝やトラック種目で活躍しているが、田中の高校時代にもケニア人留学生選手たちが多数おり、彼女たちと競い合いながら、走力を磨いてきた。

 3年次のインターハイでは、1500mでヘレン・エカラレが4分7秒06の大会記録、(当時の)外国人留学生最高記録という圧倒的な強さで優勝している。

 田中は4分15秒90で2位だった。

 1500mのレース動画を見ると、田中はエカラレやほかのケニア人留学生選手と肩を並べてレースを進め、中盤で彼女たちに抜かれて5位まで順位を落としたが、後半のスパートで2位になっている。3000mも負けたくないという気持ちが前面に出ているレース展開だった。

「同じくらいのタイムなら、戦ってほしい」

 田中は高校生にこうアドバイスをする。

「抜きん出ているケニア選手は私の時もいました。でも自分と同じくらいのタイムの選手なら、怯まずに戦ってほしいと思います」

 ケニア人留学生を特別視せず、国内で世界レベルの高校生と戦えるチャンスと考えて、どんどん挑戦してほしい。思うような結果にならないこともあるかもしれない。だが世界のペースを感じることは大きな財産になり、強くなるための糧になる。また「いつかきっと」という気持ちを持つことも、強くなる原動力になるだろう。

 14日の全国都道府県女子駅伝では、田中をはじめとした日本のトップ選手たちが出場を予定している。彼女たちに憧れ、いつか自分も世界の舞台で活躍したいという中高生も多数出場する。

 今大会の事務局で京都陸上競技協会の栢木恵子広報部長は「今、活躍しているトップ選手たちも中高生の時にこの駅伝を走りながら『未来の自分』を見ていたのかなと思います。若い選手たちにはトップ選手たちの息遣いや空気感を感じながら走ってほしい」と話す。

 テレビで見ている選手たちと同じ場所でアップをしたり、肩を並べて走るのは緊張するかもしれない。でも世界を感じられる素晴らしい機会と捉えて、決して怯まずに挑んでほしいと思う。

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田中希実

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