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「中高生の憧れ」“世界”の田中希実、じつはインターハイ優勝経験がなかった! 全国女子駅伝に向けて「憧れるのはいいと思うんですけど…」
posted2024/01/13 17:00
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph by
AFLO
世界で最も歴史のある女子駅伝、全国都道府県対抗女子駅伝が1月14日に京都で開催される。
中高生にとっては全国、そして世界への登竜門的な大会でもあるが、今年も日本を代表する選手たちが名を連ね、若い選手たちと襷を繋ぐ。世界の舞台で戦う選手を間近で見られる絶好の機会になるだろう。
昨年ダイヤモンドリーグで5000m14分29秒18の日本新を出した田中希実(ニューバランス)も兵庫県代表としてエントリーしている。世界陸上やダイヤモンドリーグなどでの田中の活躍をワクワクしながら見ている中高生は多いはずだ。
「田中さんに憧れている子、大勢いるんじゃないでしょうか」
そう尋ねると、田中はちょっとはにかんで「どうでしょうね」と首を傾げる。
「田中さんのようになりたいと思っている中高生がいたら、どんなアドバイスを送りますか」
少し間を置いて、こう答えた。
「憧れるのはいいと思うんですけど、心に秘めるものはあってほしいんです」
心に秘めるもの。それが田中を突き動かし、世界で挑戦する原動力になっている。
意外にもインターハイ優勝経験はなし
24歳になる田中のここ数年の活躍は目覚ましいものがある。
大学1年生の2018年にU20世界選手権の3000mで優勝すると、その翌年2019年にはシニアの国際舞台、ドーハ世界選手権に出場し、5000mで14位に入った。21歳で出場した東京五輪の1500mでは、準決勝で日本人女子初のサブ4となる3分59秒19を出すと、決勝でも再びサブ4となる3分59秒95で8位入賞という大快挙を成し遂げた。2022年のオレゴン世界陸上では中長距離3種目に挑戦。昨夏のブダペスト大会では5000m予選で14分37秒98の(当時)日本記録を出し、決勝では8位入賞するなど輝かしい成績を収めている。
成績だけを見ると早熟な印象を持つが、本人は「中学記録や高校記録も出していないですし、インターハイでも優勝していないんです」と振り返る。
「ライバル選手に並びたい」から始まった
調べてみると中学3年の時に中学総体の1500mで優勝しているが、確かにインターハイの優勝経験はなく、中学記録や高校記録にも届いていない。