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「福男」は1年後、どうなってる? 昨年の「一番福」に聞いた<幸せですか?>「フルーツやお米をもらって、阪神優勝…ラッキーしかない」
posted2024/01/10 06:00

一番左でソフトバンクのユニフォームに身を包み、駆け出す昨年の一番福・植本亮太。その後、社会人野球の道に進んだ植本選手に話を聞いた
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佐藤春佳Haruka Sato
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JIJI PRESS
商売繁盛の神様「えべっさん」の総本社、兵庫県の西宮神社で1月10日、恒例の「開門神事福男選び」が行われる。早朝6時の大太鼓の合図とともに本殿参拝の一番乗りを競う江戸時代から続く神事で、上位3人がその年の「福男」になる。果たして「福男」は幸運に満ちた一年を過ごせるのか――。昨年「一番福」を勝ち取った社会人野球・JR西日本の植本亮太選手に“1年後の答え”を聞いた。
幸運の兆し
幸運の女神には前髪しかない。そんな言葉通り、“兆し”は不意に現れた。
昨年1月10日前夜、当時、大阪商業大学4年生だった植本さんはふと、「福男選び」の参加を思い立ったという。
「これといった準備は全くしていなかったです。以前にも参加したことはあったんですが、最初のくじ引きに当たらなかった。滑らないようにと新しいランニングシューズを履いたのと、もしいい位置が取れたら目立つように、とソフトバンクのユニフォームだけ持っていきました」
絶好のスタート位置
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コロナ禍を経て3年ぶりの開催となった昨年は、開門に先立ち参加者の中から先着1200人がくじ引きを行い、門に一番近い先頭グループの108人を選んだ。植本さんが引いた番号は「5」。これが勝利を引き寄せた。
「5番は最前列の真ん中あたり。その時点でこれはいけるかもしれない、と思いました」
門は観音開きになっているため、中央から人がどっと押し出される。同じ最前列でも左右の位置だとむしろスタートが遅れ、後ろからの圧で転倒する危険性もはらんでいるのだ。
「本殿までのコースも事前に調べていたわけではなく、YouTubeでちょっと見たことがあったくらいでした。だからいざ走り出したらどこで曲がるのか分からなくて、キョロキョロしてしまって……」
神主さんに抱きかかえられていた
一番の難所と言われる最初の右カーブをクリアし、直線で加速するとこの時点で先頭に立った。左カーブを曲がり、最後は右直角に折れて本殿へ駆け抜ける。