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「福男」は1年後、どうなってる? 昨年の「一番福」に聞いた<幸せですか?>「フルーツやお米をもらって、阪神優勝…ラッキーしかない」
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佐藤春佳Haruka Sato
photograph byJIJI PRESS
posted2024/01/10 06:00

一番左でソフトバンクのユニフォームに身を包み、駆け出す昨年の一番福・植本亮太。その後、社会人野球の道に進んだ植本選手に話を聞いた
「本殿に入ったところがちょっと段差になっているのでそこで躓きかけたんです。でも気がついたら神主さんに抱きかかえられていた。まさか自分が一番福になるなんて思ってもみなかったので、マジか! という思いでしたね」
何サボっとんじゃ!
スタートから1分と経たぬうちに周囲の景色は激変する。待ち構えていたのは生中継のテレビカメラ。各局のインタビューに答え、記者の囲み取材にも次々と応じる。気づけば真っ暗だった空に太陽がのぼり、スマホには恐ろしい数のメッセージが届いていた。大商大野球部の富山陽一監督の着信に恐る恐る折り返すと、「何サボっとんじゃ!」。そう、朝9時スタートの野球部の練習はとっくに始まっていた。
「でも監督は本当に喜んでくれて、お祝いにアップルウォッチを頂いたんです。午後になっても大学に取材が来て、LINEやInstagramへのメッセージは200件以上。段々実感が湧いてきました」
「ロト6の数字を予想してください」という依頼も
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反響の大きさは、想像以上のものだった。当日から、植本さんの携帯には見知らぬ番号から続々と着信が入る。
「なんで番号を知っているのか分からないんですけど電話は一応全部出ていました。あとはインスタのメッセージで『ロト6を買いたいので数字を予想してください』とか、運が必要なことにまつわるお願いごとも結構ありましたね」
阪神・小野寺から「お前、阪神ファンやんけ!」
球界からの反応も大きかった。植本さんは明石商業高校3年生だった2018年夏に、第100回の記念大会だった甲子園に出場している。同世代の仲間や出身校の先輩・後輩から祝福が相次ぎ、プロ野球選手からも連絡が入った。総じてツッコミが入ったのは、福男選びの際に着ていたソフトバンクのユニフォーム。実は、兵庫県出身の植本さんは阪神ファンだったからだ。