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阪神タイガース日本一→連載終了のまさか…名物コラムを“辞めた”スポーツ紙著者の複雑な思いとは?「強い阪神を見られる。それなのに…」 

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プチ鹿島

プチ鹿島Petit Kashima

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posted2023/12/01 11:01

阪神タイガース日本一→連載終了のまさか…名物コラムを“辞めた”スポーツ紙著者の複雑な思いとは?「強い阪神を見られる。それなのに…」<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

悲願の日本一に輝いた阪神タイガース。しかしその裏で、名物コラムが最終回を迎えていた

「中立」なコラムではないからこそ

 このように、「中立」ではなくファンと一緒に喜怒哀楽を共にする各紙の名物コラムは楽しい。巨人ファンならスポーツ報知の「仙ペン」だろう。仙道学編集委員が執筆している。

 今年の「仙ペン」で印象的だったのは8月21日のコラムだった。今季、阪神と広島が好調なのは「声出し」応援が解禁されたことも大きいのでは? と書いていたのだ。甲子園やマツダスタジアム自体が戦力で「応援の底力」を実感すると。なるほど! こういうのって阪神と広島にコテンコテンにやられた巨人側だからこそわかるリアルな実感だろう。負けているときこそ読みごたえがある。

 そして、たまにでいいが巨人ファンは「デイリー」を、阪神ファンは「報知」をチェックしてみるといいと思う。相手側から見た評価がシンプルに書かれているから面白いのだ。

 たとえば2016年4月7日の「松とら屋本舗」は巨人の菅野についてこう書いた。

《中盤以降は手も足も出なかった。硬軟自在。しかも本格派のそれです。敵ながら…いや褒めてたまるか。でも感じてしまったんだから書かなきゃいけない。藤浪もいつかこんな投手になってくれたら、うれしい。》

「相手側」にこうして褒められたらファンはうれしいはずだ。ここに書かれていたのは藤浪晋太郎。あれから7年、今年藤浪はメジャーで奮闘した。あらためてしみじみする。

 スポーツ紙の楽しみ方として、プロ野球ファンなら自分の推し球団を詳しく伝える新聞を楽しみにする人も多いと思う。今後も各紙のアツいコラムに期待したい。以上、11月の月刊スポーツ新聞時評でした。

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