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「湯浅? 最初からいくつもりやった」阪神・岡田彰布監督の決断に対しオリックス・中嶋聡監督の継投策は? 山本由伸の発言に疑問符のワケ
posted2023/11/03 18:50
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Hideki Sugiyama
2勝2敗のタイで迎えた日本シリーズ第5戦は、2点を追う阪神が終盤の8回にオリックスのリリーフ陣を攻略。3番・森下翔太外野手の勝ち越し三塁打などで一挙、6点を奪って逆転勝ちを収めた。
1、2戦のワンサイドゲームの応酬から、舞台を甲子園球場に移した3戦以降はブルペン勝負となった日本シリーズ。第5戦も阪神・岡田彰布監督とオリックス・中嶋聡監督のリリーフのカードの切り方が、勝負を左右することへと繋がった。
最初のカードを切ったのは岡田監督だ。
ゲームチェンジャー・湯浅京己の起用
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先発の大竹耕太郎投手が4回にマーウィン・ゴンザレス内野手の本塁打で先制を許すと6回から2番手の西純矢投手にスイッチ。その西が7回1死一塁で左の宗佑磨内野手を迎えると、今度は左の島本浩也投手を投入し、その島本がバックのダブルエラーで追加点を奪われると、すかさず石井大智投手をマウンドに送った。
相手打者の右左に合わせた小刻みな継投で凌いでいくが、試合は2点を追う劣勢のままに終盤の8回に突入。ここで岡田監督はある特別なカードを切ったのである。
ゲームチェンジャー・湯浅京己投手である。
前日の第4戦で6月15日以来となる一軍復帰を果たした右腕。コーチには反対の声もあったが、それを押し切っての独断の起用だった。その背景には岡田監督が狙う特別な役割があった。
「ベンチに入っとることも知らんファンは多かったんちゃうか」
指揮官が語ったように、球場を埋めた多くのファンにとっては想像もしていなかった復活劇。だからこそ球場のボルテージは瞬く間に上がり、その熱で試合の流れを一気に変える。
指揮官の狙いはぴたりと嵌った。
それが前夜のサヨナラ劇の背景だったのだ。
絶対に3人抑えるって気持ちで…
だからこそ、その特別なカードをこの試合でのどこで、どう使うか。