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藤井聡太の「初手お茶」「おやつ」…管理栄養士はどう見る?「朝が弱い藤井さんには効果的な戦略」「棋士の消費カロリーは…」
text by
齋藤裕Yu Saito
photograph byKeiji Ishikawa
posted2023/11/11 06:01
長時間の対局となるタイトル戦で、注目を集める藤井聡太の食べたもの、そして飲んだもの。そのオーダーを管理栄養士が見ると…
午後のコーヒーなしは睡眠時間確保のため?
藤井はコンディションのため意識していることとして「忙しいときでも睡眠時間は一定に保つようにしています。同じ時間に寝て同じ時間に起きるほうがいいのかなと意識しています」と睡眠の重要性を明かしている(2021年6月、叡王戦挑戦権獲得の会見での発言)。睡眠時間は7~8時間とのこと、そして2日制の対局で翌朝も早いことなどを考えると、午後のコーヒーを控える姿勢の裏には睡眠への意識の高さがあるのかもしれない。なお、午後はコーヒーではなく紅茶が主流(56.9%)になるが、「コーヒーほどカフェインが多くないが、緑茶と同様テアニンというアミノ酸が含まれているので、リラックス作用があったり、脳の機能を向上させる良い影響がある」そうだ。
多様な昼ごはんの指し回し
午前のおやつの次に頼むのが「昼ごはん」だ。藤井は「こればかりを頼む」という定跡や決まって大盛を指定するなどの独自の戦型もない。強いて言うならば、小鉢が多い膳もの(○○御膳やうどん膳など)を昼食123回中20回頼んでおり、タイトル登場が比較的多い印象だ(なお、うどんは17回、そばは13回登場)。
「御膳は小鉢が並び品目が多く、丼ものなどの一品料理と比べ、食事にかかる時間が長くなる分、血糖値の急激な上昇を抑えられると思います。また摂取できる栄養素の幅も広く、バランスの取れた食事に自然となりやすい。メインのご飯で三大栄養素の糖質が摂れることはもちろんですが、セットの漬物もポイントで、糖質をエネルギーに変換する時に必ず必要になってくる栄養素であるビタミンB1が多く含まれています。糖質が重要だと思われがちなのですが、実はこのビタミンB1をぬか漬けや玄米、魚、豚肉、枝豆、ナッツ類などで補給することが糖質を効率よく摂取する近道になります」
17~21歳でハンバーガーのオーダーは0回
「大盛」などのオーダーはどうだろうか。
「大盛は空腹を満たすという意味では良いのですが、たくさんの量を食べたりすると消化を促すために消化管に血液が集まりますので、脳に血液が行かなくなってしまい、頭の働きが下がってしまう可能性があります。特にご飯、糖質を摂り過ぎてしまうと、血糖値も上がりやすくなります。そうすると膵臓がインスリンを大量に分泌するため、反動で血糖値が下がってしまって眠気を感じてしまうということが起こりえます」
一方で、17歳から21歳という年頃にしては、ガッツリとした脂っこいメニューは比較的少ない印象に映る。例えば、カツを含んだメニューは8回、ステーキ類は6回登場したのみで、うなぎは0回、ハンバーガーも0回だ。圓尾さんに八冠の“脂質”について問うと……。
<続く>