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藤井聡太の「初手お茶」「おやつ」…管理栄養士はどう見る?「朝が弱い藤井さんには効果的な戦略」「棋士の消費カロリーは…」
text by
齋藤裕Yu Saito
photograph byKeiji Ishikawa
posted2023/11/11 06:01
長時間の対局となるタイトル戦で、注目を集める藤井聡太の食べたもの、そして飲んだもの。そのオーダーを管理栄養士が見ると…
「キノコ類が苦手とのことですが、それ以外は好き嫌いなく色々食べられているのかなと思いました。八冠が決まった王座戦では対局相手の永瀬拓矢さんがサンドウィッチやハンバーガーを頼まれていましたが、藤井さんは比較的魚モノや和食を多く頼まれている印象です。それ以外のタイトル戦でも郷土料理や品目が多い御膳などを召し上がられていて、その土地の特産品を楽しまれている印象でした」
タイトル戦では「午前のおやつ」が供されるが、朝食は明らかになっていない。藤井は「朝が苦手」と度々語っており、朝食は30分くらいかかっていることがあるというほどの“スロースターター”だ。そして前編で記した通り、午前のおやつに93.2%とかなり高い頻度で固形のお菓子を口にしている。こういった間食は好手と言えるのだろうか。
午前のおやつでエネルギー補給は効率的
「朝が弱いということは、なかなか朝から胃腸も動かないということでもあると思います。無理にたくさん食べ、うまく消化できないとお腹が重くなって体調に影響することもあります。そう考えると、朝はある程度軽めに食べておいて、午前のおやつでエネルギーを補給するという戦略の方が、効果的かなと思いますね」
午前の二段階補給の戦型は理にかなっているというわけだ。加えてこう語る。
「30分ゆっくり時間をかけて食べることは健康にすごく良いことですね。一気に短時間で食べると血糖値が急激に上昇して眠気などに繋がりますが、その上昇が緩やかになりますので、眠気を防止できたり、長期的に考えても生活習慣病のリスクが減らせたり、健康にとってもいいことですね」
勝利に向けてなだらかに描かれる“藤井曲線”。そんな評価値の曲線と比例するように、血糖値も序盤は落ち着いた展開を見せているようだ。
“初手お茶”の効能は?
序盤でいうと気になるのが“初手お茶”の効能だ。イチローが打席に入った際、対戦前に投手に向けてバットを右手で立てるように、初手を指す前にお茶を飲むというのが藤井将棋のルーティンとなっている。実際本人も「対局に臨む上で気持ちの揺れというのは大きな影響があるので、お茶を飲むことで心を落ち着かせられるのかなという気がしています」と自身の感覚を『伊右衛門』のCM撮影時に語っているが、果たして……?