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藤井聡太の「初手お茶」「おやつ」…管理栄養士はどう見る?「朝が弱い藤井さんには効果的な戦略」「棋士の消費カロリーは…」
text by
齋藤裕Yu Saito
photograph byKeiji Ishikawa
posted2023/11/11 06:01
長時間の対局となるタイトル戦で、注目を集める藤井聡太の食べたもの、そして飲んだもの。そのオーダーを管理栄養士が見ると…
「緑茶はいろんな健康効果がありますが、脳に対する働きが大きいですね。緑茶に含まれているテアニンというアミノ酸にはリラックス作用があります。神経に働きかけてストレスを和らげたりですとか、体をリラックス状態に導いてくれたり、あとは脳の中で働くBDNF(Brain-Derived Neurotrophic Factor)という脳の神経の発達を促す物質の分泌を促したりしてくれる。それによって集中力や記憶力が高まるということもわかっています」
お茶の「呼吸」に着目
そして、こう付け加える。
「ただ、もっと即効性があることとして『呼吸』なんじゃないかと思うんですね。チェスのカロリー消費の研究でも体が緊張して、こわばる状態になることがわかっています。お茶って熱いので、一気に飲めないというか息を吐いて『フー』って冷まさないといけないと思うんですよね。人間は息を吐くことによって副交感神経が働いて、筋肉も緩むんですよね。そのフーって息を吐くことによって、もしかしたら少し集中力を高めているんじゃないか、という気もしますね」
たしかに“初手お茶”の際、藤井が取る動作はかなりゆっくりに映る。本人が感覚的に行っていた動作が頭だけでなく体にも良い作用をもたらしているのは、なんという“僥倖”。いや、もしかしたら本能的に自分の心身にとっての最善手を選びとれているのかもしれない。
気をつけたいコーヒーを飲むタイミング
初手お茶に続いて、83.76%(117回中98回)と高頻度で口にしている「午前のおやつ」でのコーヒー。逆に「午後のおやつ」では0.8%(123回中1回)とほとんど頼んでいない。カフェインを多く含むことで有名なコーヒーだが、飲むタイミングにポイントがある。
「ある研究では、朝起きて空腹状態でいきなりコーヒーを飲むと血糖値が上がりやすくなるというデータが出ています。理由としてはコーヒーに含まれるカフェインの作用で血糖値が上がりやすくなってしまう。そうなると眠気を引き起こし、集中力にも影響を及ぼします。飲むとしたら食後とかの方が体に対する悪影響は少ないのかなと思いますね。カフェインに関しては覚醒作用、集中力を高める作用は個人差がある。眠れなくなることを心配して午後頼まないということは考えられます」