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[バタフライ効果的考察]ルール厳格化で何が変わった?
posted2023/10/15 09:00
text by
中矢健太Kenta Nakaya
photograph by
Kiichi Matsumoto
主審がポケットに手を突っ込む場面は、かつては緊張が走るレアシーンだった。しかし今や珍しくも何ともなく、人々のフォーカスは「何色か?」に集まる。ルールが変わり、カードが増えた。カードが増えて……の先にあるものは? プール戦をもとに現代ラグビーの「風が吹けば桶屋が儲かる」を検証する。
今年の春から国際統括団体であるワールドラグビーは、「プレーヤーウェルフェア向上」という名目のもと、ルールの試験的変更に取り組んでいる。中でもピッチ上のラグビーに多くの変化をもたらしているのが、タックルにおける基準の改正だ。
今までは、肩より上へのタックルが反則とされてきた。だが今回、その基準が胸骨(みぞおちの上あたり)まで引き下げられた。これによって、ダブルタックルに入る選手がハイタックルの反則を取られる機会が増えている。胸骨を越えて頭頸部への接触が認められた場合、ほぼカードが出ると言っていい。選手の安全を守るため、年々ルールは厳格化される傾向にある。
変化は数字に表れている(データ参照)。プール戦1試合当たりのイエローカード数は、'19年W杯が0.68枚。今大会は全チームプール戦3試合消化時点ですでに1.22枚とほぼ倍の数値である。カード総数46枚、ペナルティ数674も'19年W杯を大きく上回る。今大会のレッド7枚のうち6枚はタックルやオーバーの際、相手の頭頸部に接触したことが要因となっている。