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[観戦力向上マニュアル]にわかでも丸わかり! キープレー解説講座(2)タックル編 武者大輔「最強タックラーが語るぶっ倒しの原理原則」
posted2023/09/10 09:02
text by
多羅正崇Masataka Tara
photograph by
Atsushi Kondo
稲垣啓太をして「彼は危ない」と評させる男は、武者の名の通り、低く、鋭く、果敢に相手に立ち向かう。“最強タックラー”が明かすタックルの極意とは――。
「高校のコーチに、『80kgの鉄球が膝下に当たったら誰でも倒れるだろう。お前もそれになれ』と言われたんです。それが始まりでした」
選手間投票で「国内最強タックラー」を決めるテレビ番組の企画で、海外出身選手を抑えて最多得票を集めた男――。釜石シーウェイブスのフランカー武者大輔は自身の原点についてこう語る。
武者のタックルは、低く、鋭く、強い。ラグビーは目下「胸骨から上」の高いタックルが厳罰化され、各国が低く効果的なタックルを模索している。そんな今こそ「低さ」「鋭さ」「強さ」を共存させる秘密が知りたい。177cmの“最強”タックルマンに、理想とする一撃を実践してもらった。
「相手と1対1になったら、まず周辺視野で全体を捉えます。パスやキックなど別のプレーに対応するためです」
ここから相手が間合いに入ってきた瞬間、武者は小さな変化を加えるという。
「ターゲットは『腰』。ハイタックルにならない『胸骨より下』を意識しているとリスクが大きいので、安全で効果的な『腰』に、目線だけを移動させます」
なぜ目線だけなのか。
「頭ごと一気に下げてしまうと、大きな『縦の動き』が生まれます。これによって相手の『横の動き』に対応しづらくなり、タックル精度が落ちてしまいます」