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「メッシは期待値を大きく超えていた」欧州発、“新たな指標”で分かった選手の真価<欧州サッカーのデータ最前線>
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中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byTakuya Kaneko/JMPA
posted2023/09/18 17:04

動き続けているスポーツのため、ゴール確率や貢献度など細かなデータ分析が進んでいない印象のあるサッカー。しかし、いくつか新しい指標が登場してきている
またフライブルクでクラブの5位に貢献した日本代表FW堂安律は昨季5ゴール4アシスト。本人が「ゴールチャンスに絡むというプロセスには満足している」と話していたことがあるが、その言葉通りxG7.10、xA4.07はどちらもチーム3位の好スコアだ。チームへの貢献度の高さを物語っている。
シーズンxGで如実にわかるメッシのすごさ
シーズンを通してxGと実際のゴールデータを観察すると、通常は誤差の範疇内で終わることが多い。例えばアナライズ会社ワイスカウトが調べた18-19シーズンのスペインのラ・リーガのデータによると、当時バルセロナのウルグアイ代表ルイス・スアレスはxG18.26で20ゴール、A・マドリーのフランス代表アントワン・グリーズマンがxG14.26→17ゴールとほぼ似た様な数字になっていた。
でもメッシは違う。昨季パリ・サンジェルマンでプレーしたメッシは、18-19シーズンにはxG25.55→36ゴールと期待を大きく上回る記録を残しているのだ。
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つまり、メッシは本来であればゴールにならないであろう状況からでもゴールを決めきることができるということだ。それも1度ならず何度も。ワールドクラスと呼ばれる選手には《期待値》を上回るスキルやアイディアがあるし、たとえ相手がどれだけ入念な準備で守備組織を組んできたとしてもそれを打ち砕き、ゴールという結果へ導くことができる。そしてこのデータからも見られるように、メッシによるその頻度とクオリティの高さには、改めて感嘆の思いでいっぱいになる。
データが全てではない。でもこうしたデータを通して見えてくるものもたくさんある。
