熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
“移籍金350億円PSG→報酬506億円サウジ”がアンチ増加の要因か…ネイマール“涙のペレ越え79発”もブラジル国内は「醒めている」
posted2023/09/17 11:04
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
AFP/JIJI PRESS
試合中に彼がこれほど感極まった表情を浮かべ、涙まで見せたのは、14年間のキャリアで初めてのことだろう。
9月8日、ブラジル北東部ベレンで行なわれた2026年ワールドカップ(W杯)南米予選第1節のボリビア戦。後半16分、右からのクロスをゴール前でロドリゴ(レアル・マドリー)がコントロールしようとしたが、タックルを受けてボールが左へこぼれると、すかさず右足で蹴り込んだ。意表を突かれたGKは、一歩も動けなかった。
セレソン(ブラジル代表)での通算78点目。キング・ペレを抜いて、最多得点記録を更新した。
数字の上ではペレを上回ったけど…」
予め、決めていたのだろう。ペレの定番のゴール・セレブレーションだった「高々と跳び上がり、右の拳を空中に叩きつけるポーズ」を2度、繰り返す。笑顔で駆け寄ったチームメイトたちと、輪になって抱き合った。そして、両手で力強いガッツポーズを作り、両手の人差し指で天を指すと、感激の面持ちで両目を潤ませた。
後半アディショナルタイムにも右からの浮き球のクロスを直接蹴り込み、記録を79点まで伸ばした。
試合後、ブラジルサッカー連盟のエドナルド・ロドリゲス会長から新記録達成の記念プレートを授与され、「自分の名前をブラジルのフットボールの歴史に刻み込みたいと思ってきた。今日、それが実現した。これまで自分を支えてくれた人たちに感謝したい」、「ペレの記録を数字の上では上回ったけれど、彼を超える選手になったとは思っていない」と静かに語った。
12日に行なわれた2026年W杯南米予選第2節ペルー戦にも出場。得点こそなかったが、セレソンの出場試合数を126へ伸ばし、歴代2位のダニエル・アウベスに追いついた。最多記録はカフー(注:1994年と2002年W杯で優勝)が持つ142試合だが、南米予選(残り16試合)と2026年W杯に出場すれば記録更新が十分に可能だ。
私生活上のトラブルが頻発している一方で
ブラジルサッカー連盟の記録では、ペレはセレソンで114試合に出場して95得点。ただし、この中には対戦相手がクラブや地域選抜だった試合が含まれており、代表Aマッチに限ると92試合で77得点(1試合当たりの平均得点は0.84)。一方、ネイマールは代表Aマッチで126試合に出場して79得点(1試合当たりの平均得点は0.63)。近年、代表の試合が急増している恩恵を受けているのは確かで、1試合当たりの平均得点はペレに遠く及ばない。