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金満サウジに“代表監督強奪された”窮地イタリア…“鎌田大地同僚で報酬110億円を蹴った”新主将インモービレ33歳、新指揮官のゲキとは 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2023/09/16 17:01

金満サウジに“代表監督強奪された”窮地イタリア…“鎌田大地同僚で報酬110億円を蹴った”新主将インモービレ33歳、新指揮官のゲキとは<Number Web> photograph by ANSA/AFLO

鎌田大地とハイタッチするインモービレ。サウジマネーの誘惑を断ったラツィオの頼れるキャプテンはアズーリの主将にも任命された

 後任の条件は「報酬は前任者と同程度で、連勝を義務づけられた9月連戦へ即座に対応できるほど国際試合の経験と指導力に長け、さらに現在のセリエA選手を熟知していること」。そんな難条件に見合う人材が都合よく見つかるわけがない。

 火中の栗を拾ったのは、智将ルチアーノ・スパレッティだ。

 昨季33年ぶりにナポリをセリエA王者に導いた名将は、心身の疲労から1年残っていたクラブとの契約を返上して休養に入ったばかり。だが、子供の頃からの夢だったイタリア代表監督への就任要請とあれば、躊躇うことはなかった。

4億円近い違約金騒動は現在も続いている

 休養の約束を反故にしたため、ナポリと連盟の間で違約金騒動が勃発したものの、とにかく目前のEURO予選で代表監督不在という最悪の事態を避けたかった連盟は見切り発車でスパレッティ体制をスタートさせた。

 4億円近い違約金騒動は、契約書の特記条項に関する労務問題として、ナポリと連盟双方の法務部が現在も争議を続けている。両者は同一コンペティションでの競争相手ではないため、結局は連盟有利に決着するだろうというのが専門家の見方だ。

 すったもんだの末、スパレッティ代表監督は9月2日に正式就任した。

 EURO予選では、各グループ上位2チームに本大会出場権が与えられる。グループCでは首位イングランドが通過をほぼ確実にしており、イタリアはウクライナと2位を争う。9日の北マケドニア戦は是が非でも落とせない一戦だった。

 しかし、スパレッティ体制の初陣に臨んだアッズーリは、1-1の手痛いドローに終わった。

「いい組み立てができれば、やりたいゲームができる」

 北マケドニアの代表選手自身が恥じたほど凸凹のピッチコンディションながら先制点を奪ったイタリアだが、新監督の下でのプレーはまだ手探り状態。終盤に相手FKから追いつかれ、カタールW杯予選プレーオフで大番狂わせを献上した悪夢の相手に再び辛酸を舐めさせられた。

 いきなり崖っぷちに追い込まれたイタリアは3日後、ミラノのサン・シーロでウクライナと激突。攻守に若さをのぞかせながら2-1で勝利し、得失点差でグループ2位を維持した。

 海千山千のアッズーリ新指揮官スパレッティは慌てず騒がずだった。

【次ページ】 新主将インモービレも「110億円提示」を断っていた

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