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金満サウジに“代表監督強奪された”窮地イタリア…“鎌田大地同僚で報酬110億円を蹴った”新主将インモービレ33歳、新指揮官のゲキとは
posted2023/09/16 17:01
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
ANSA/AFLO
アッズーリ(青色)から緑のハヤブサへ。
“グリーン・ファルコンズ”の愛称を持つサウジアラビア代表の新監督ロベルト・マンチーニは、9月8日、初采配となるコスタリカとの親善試合に臨み、1-3であえなく敗れた。
代表のコーチスタッフは8月13日の電撃辞任まで率いていたイタリア代表のコーチングスタッフほぼそのまま、「“サウジイタリア”の門出」と呼ばれた初陣でまさかの黒星スタート。12日の韓国戦も0-1と連敗し、現時点では年俸40億円以上で招かれた新監督の面目は丸潰れだ。
マンチーニ招聘したのに連敗したサウジの目論見は?
デビュー戦2試合の舞台は、イングランドのニューカッスルだった。昨季プレミアリーグ4位のニューカッスルは実質的にサウジの王族政府ファンド「PIF」の所有物だから、マンチーニへの御膳立ては出来上がっていた。「セント・ジェームズパーク」は、サウジアラビアの疑似ホームといえるだろう。
現在、サウジアラビアのFIFAランキングは54位だが、同国連盟のヤセル・アル=ミセハル会長は、8月にマンチーニ招聘を成功させた後、野心たっぷりに語っている。
「彼の業績と経験は我々の今後の国際舞台での躍進に大いに役立ってくれることでしょう。我々の目標は自国の選手たちを高いレベルに引き上げ、世界的な成功を収めることです」
サウジアラビアでは、皇太子兼首相ムハンマド・ビン・サルマーンが主導する国家改造計画「VISION2030」によって、国際スポーツ界への超巨額投資が続いている。
彼らの野望は、まず来年1月にカタールで開催されるアジアカップで優勝すること。次に2024年の北米W杯アジア予選突破。そして、27年に地元開催される次回アジアカップの連覇まで想定している。ギャラが高い分、マンチーニの負う責任は大きい。
アジアで直接のライバルとなる日本も無関係ではいられない。サウジアラビアの政治及び人権問題を覆い隠す“スポーツ・ウォッシング”が、代表サッカーの世界にも及んできたのだ。
ナポリをセリエ王者に導いた智将が火中の栗を
一方、マンチーニを“強奪された”欧州王者イタリアは、9月のEURO予選を前に代表監督不在の大ピンチに陥った。