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《142億円で強奪》「金の亡者。裏切り者」「信頼関係にヒビ」批判殺到の欧州王者イタリア→サウジ電撃移籍…大モメ監督人事の真相

posted2023/09/16 17:00

 
《142億円で強奪》「金の亡者。裏切り者」「信頼関係にヒビ」批判殺到の欧州王者イタリア→サウジ電撃移籍…大モメ監督人事の真相<Number Web> photograph by Christopher Lee - UEFA/Getty Images

23年6月、UEFAネーションズリーグでのマンチーニ監督。まさかこの時、イタリアからサウジ代表に鞍替えすると想像した人は少ないだろう

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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Christopher Lee - UEFA/Getty Images

数百億円クラスのケタ違いなマネーゲームでクリスティアーノ・ロナウド、ネイマールらワールドクラスを収集するサウジアラビアのサッカー界。代表監督でもなんと前回EURO王者であるイタリアのマンチーニ監督を“強奪”した。その顛末、そして“オイルマネーの爆買い”に揺れるセリエAなどイタリアサッカー界の今を現地からレポートする(全3回の第1回/第2回も)

 アッズーリ(イタリア代表の愛称)を率いてEURO2020を制した名将ロベルト・マンチーニが、8月28日、サウジアラビア代表監督に就任した。

「私はヨーロッパで歴史を作った。今度はサウジアラビアで歴史を作る」

なぜマンチーニは突然、地位も名声も投げ出したのか

 現地報道によると、年俸は手取りで2500万~3000万ユーロ(約40~47億円)とされている。イタリア代表時代の400万ユーロ(約6億3000万円)と比べると、6倍から7倍以上にあたる破格の高待遇だ。『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙いわく、2027年1月までの契約期間に受け取る総額は「9000万ユーロ近い」。日本円なら142億円強だ。砂漠の国のマンチーニは世界で最も高給取りの代表監督になった。

 ただし、今、母国イタリアの彼を見る目は冷え切っている。つい数週間前までイタリア代表監督だったマンチーニへの評価は、欧州を制した名将から”代表チームを見捨てた裏切り者”へ一変した。

 マンチーニはコロナ禍に苦しんだイタリアにEURO優勝で歓喜と希望をもたらした英雄であり、その後カタールW杯出場を逃しはしたが、なお絶大な人気を誇るカリスマ指導者だった。広告業界からも引っ張りだこでファッションブランドをはじめ、イタリア郵便株式会社や故郷マルケ州観光局のイメージキャラクターとしても好評を得ていた。甘いマスクの彼はロマンスグレーになっても青年らしさを失わず、国民にとって“永遠の若大将”だった。

 ところが、マンチーニは突然、その地位も名声も投げ出した。一体何があったのか。

「強欲すぎ」「金の亡者」「カネで代表を裏切った」

 青天の霹靂にイタリア・サッカー界がひっくり返ったのは、バカンスシーズン真っ盛りの8月13日のことだ。

 国民的英雄の辞意表明はあまりに唐突で、国中に大きな衝撃と困惑をもたらしたが、すぐにサウジアラビアからの超破格オファーが背後にあったことが知れ渡ると、各メディアや庶民は一斉にマンチーニを非難した。

「カネで代表を裏切ったのか」
「強欲すぎる」
「金の亡者」

 代表OBや重鎮たちも黙ってはいない。

【次ページ】 私は辞任という権利を行使しただけだ

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