オリンピックへの道BACK NUMBER
「先輩がいてくれるから」 渡辺勇大と東野有紗の“中学時代から変わらない”ペア愛…混合ダブルス快進撃の原動力は“敬意とコミュニケーション”
posted2023/08/06 11:03
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
JIJI PRESS
1時間を超える激戦を制し、2人はまた1つ、成長の証を見せた。
7月30日、バドミントンのジャパンオープンで混合ダブルスの決勝が行われ、渡辺勇大・東野有紗が優勝した。この大会でのこの種目で、日本勢として初めて頂点に立った。
優勝が決まった瞬間、渡辺勇大は膝をつき力のこもったガッツポーズを見せ、一方の東野有紗はコートに倒れこんだ。
そんな姿が象徴するように、試合は熾烈を極めた。相手は有数の強豪ペアであり、昨年の決勝で対戦し敗れたデチャポン・プアヴァラヌクロー、サプシリー・タエラッタナチャイ(タイ)。
第1ゲームは14-8とリードしたところから14-15と逆転され、その後巻き返せず17-21でこのゲームを失う。だがそのままでは終わらなかった。第2ゲームは粘り強いプレーを見せ、後半に追い上げられる場面もあったがその流れをとどめて21-16で獲ると第3ゲームも21-15。昨年の雪辱を果たした。
勝利の要因は「細かなコミュニケーション」
第1ゲームを逆転で落としながら勝利を手繰り寄せた要因について、試合後の2人はこのように話している。
「どちらも体力的にきつかったと思うし、しんどいゆえにコミュニケーションを怠りたくなったこともあったと思いますけど、常に声をかけあうのが、大事になっていたポイントです」(渡辺)
「コミュニケーションをとったのが勝因だと思います」(東野)
試合中は、プレーについて触れた言葉に加え、細かな意思疎通の言葉も飛び交った。
「ありがとう」「お願い」
コミュニケーションが光ったのは決勝だけではない。準決勝では世界ランク1位の鄭思維、黄雅瓊(中国)にストレート勝ちをおさめている。この試合でも、互いに言葉をかけ続けた。
「シンプルでもその積み重ねだと思います」(渡辺)