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「先輩がいてくれるから」 渡辺勇大と東野有紗の“中学時代から変わらない”ペア愛…混合ダブルス快進撃の原動力は“敬意とコミュニケーション”
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byJIJI PRESS
posted2023/08/06 11:03
バドミントンジャパンオープン混合ダブルスで優勝を果たし抱き合った渡辺勇大と東野有紗
渡辺は“東野とのペア”にさらに集中
東京五輪で金メダルを獲得した中国のペア、王懿律・黄東萍に敗れた準決勝で浮かび上がった課題の1つは、混合ダブルスのセオリーの1つ、女子を狙ってきた時、つまりは東野を狙ってきた時に、いかに守勢に回らないようにするかだった。より攻撃的なレシーブができるよう、課題に取り組んだ。
環境的な変化もあった。渡辺は、東京五輪までは男子ダブルスにも取り組んでいたが、現在は混合ダブルスに集中している。その分、お互いに密に連絡をとりあい、コミュニケーションをより図れているという。
また、2022年3月、渡辺はプロに転向を発表した。
「オリンピックでメダルを獲り、ここからさらにバドミントン競技に勢いをつけたいと思いました」
普及に取り組むのも目的としてあげていたが、会見では「パリでは混合ダブルスでメダル獲得をめざしていると思いますが」と尋ねられた瞬間、きっぱりと答えた。
「まず、パリではメダル獲得ではなく金メダル獲得を目指しています」
バドミントンに勢いをつける――金メダルこそ、その最大の力になるだろう。
“先輩・後輩”の変わらない敬意
「勇大君から声をかけてもらうと、頑張ろうと思えるし、本当に1個下かな、と思うくらい頼れる存在です」(東野)
「僕の表情や態度にいち早く反応して、カバーしてくれるのが先輩です。先輩がいてくれるから、感情を出すことも、出してコントロールもできます」(渡辺)
年齢は1つ違い、中学生のとき、先輩と後輩として出会い、互いに敬意を持ち、それを思うだけでなく言葉として伝えあってきたから、信頼を強固にしながら支え合ってきた。そんな2人は、どこまで自分たちのレールを作っていくだろう。
8月21日からは、世界選手権が始まる。一昨年、昨年は銀メダル。まだ手にしていない色を目指して臨む。
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