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藤井聡太21歳「八冠を意識することはありません」と語る“究極の目標”…豊島将之33歳との王座戦激闘後、2人が驚いた“幻の一手”とは

posted2023/08/06 11:02

 
藤井聡太21歳「八冠を意識することはありません」と語る“究極の目標”…豊島将之33歳との王座戦激闘後、2人が驚いた“幻の一手”とは<Number Web> photograph by Keiji Ishikawa

王座戦挑戦者となった藤井聡太七冠。「八冠全制覇」なるかとともに、将棋の真理を突き詰める姿に注目したい

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田丸昇

田丸昇Noboru Tamaru

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Keiji Ishikawa

 第71期王座戦の挑戦者決定戦は8月4日に大阪の関西将棋会館で行われ、藤井聡太竜王・名人(21=王位・叡王・棋王・王将・棋聖を合わせて七冠)が豊島将之九段(33)に勝った。永瀬拓矢王座(30)への挑戦権を得た藤井は、全冠制覇の「八冠」の可能性がいよいよ現実味を帯びてきた。大激闘が繰り広げられた藤井-豊島戦、王座戦五番勝負の永瀬ー藤井戦などについて、田丸昇九段が解説する。【棋士の肩書は当時】

初対局から豊島は藤井相手に6連勝した

 藤井竜王・名人と豊島九段の対戦成績(挑戦者決定戦の時点)は、藤井が21勝11敗と勝ち越し、直近で8連勝していた。

 両者の初対局は2017年8月の棋王戦で、豊島が勝った。その後、豊島は竜王戦、王将戦などで藤井に6連勝した。藤井が豊島になかなか勝てなかった理由のひとつは、少年時代に抱いた豊島への尊敬の念があったからだという。

 藤井は2014年12月の初段時代、師匠の杉本昌隆七段の研究会で勧められ、豊島七段に初めて指してもらった。豊島が順当に勝ったが「小学6年でこれだけ指せたら、自分のときと比べて圧倒的に強い」と評した。一方の藤井は「終盤で本気を出されて負かされました」と、後年に語った。

 2017年5月に愛知県岡崎市で開催された将棋イベントでは、デビュー戦から16連勝していた藤井四段は、記念対局で豊島八段と対戦し、激闘の末に豊島が勝った。藤井は「A級棋士の力というものを感じました」と語り、豊島の強さを痛感した。

2021年の王位戦から力関係が変わってきた

 両者のそうした力関係が一転する契機となったのは、藤井王位に豊島竜王が挑戦した2021年の王位戦七番勝負だった。豊島は第1局で先勝し、第2局は7月に北海道・旭川で行われた。その時点の対戦成績は、豊島が7勝1敗と藤井に大きく勝ち越していた。

 藤井は第2局で、直行便の旭川空港ではなくて新千歳空港に行き、札幌駅を経由して函館本線で旭川駅に向かった。初めて訪れた北海道の田園地帯を、車窓から1時間半ほど眺めた。大の鉄道好きだけに、のどかな光景を見てリラックスできたという。

【次ページ】 王座戦挑決では初めて「雁木」の戦型に

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