「私が四段の頃から、永瀬王座には将棋を教えていただき、自分を引き上げてくれた方だと思っています。普段から指していて手の内を知られているので、五番勝負に向けてさらに工夫が必要なのかと感じています。永瀬王座とは先月まで練習将棋を指していました。いったんは休止し、シリーズ後にお願いするつもりです。王位戦が進行中なので、八冠を意識することはありません」

　藤井は実力をさらに伸ばすのが究極の目標で、実績や記録にはもともと関心がなかった。

　永瀬王座に藤井竜王・名人が挑戦する王座戦五番勝負の第1局は、8月31日に神奈川県秦野市の「元湯 陣屋」で行われる。以降は10月下旬の第5局まで、全国各地の対局場を転戦する。

藤井－永瀬の対戦成績は藤井の11勝5敗だが

　藤井が王座を獲得すれば、全冠制覇の「八冠」の偉業が達成される。全国的な話題になっているので、それぞれの対局で大いに盛り上がることだろう。

　両者の対戦成績は、藤井が11勝5敗と勝ち越しているが、後半の8局は4勝4敗と五分である。戦型は「相掛かり」か「角換わり」が予想される。直近の対局は今年2月のA級順位戦で角換わりとなり、先手番の永瀬が勝った。

2022年の第93期棋聖戦第4局を終え、感想戦で対局を振り返る藤井聡太棋聖（手前右）と永瀬拓矢王座（同左）　©JJI PRESS

　王座戦では、第1局を制した方が有利になると思う。

　永瀬王座は竜王戦の挑戦者決定戦三番勝負に進出していて、現時点で相手の伊藤匠六段（20）が先勝している。藤井－永瀬のダブルタイトル戦か、藤井－伊藤の同学年対決か、竜王戦の勝負にも注目したい。

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