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欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
「タケ・クボは“いいヤツ”。ただピッチ上は“いい意味で無礼”」スペイン人番記者が見たソシエダ久保建英の相乗効果「彼は未来を担う存在」
text by
ロベルト・ラマホ/ディアリオ・アスRoberto Ramajo
photograph byDaisuke Nakashima
posted2023/08/03 17:00
サン・セバスチャンの子供たちからも大人気の久保建英。スペイン人記者は「いいヤツ」と「無礼さ」という表現でその魅力を感じ取っている
久保はファンの愛情を勝ち取り、大衆のアイドルとなった。オフィシャルショップで売られている彼のフォトカードは、シーズン半に品切れとなったほど売れている。「タケマニア」と呼ばれる現象は一時的なブームに終わることなく、長きに渡りサン・セバスチャンの地に根付いていくことだろう。
久保がここまでサン・セバスチャンの人々に愛されるようになった一因は、どこまでも親しみやすい人柄にある。常に自然体で裏表がなく、思ったことははっきり口にする。久保は良くも悪くもそういう人間だ。好き嫌いが分かれるかもしれないが、ラ・レアルのファンはそんな彼を好むどころか、深く愛している。
「いい奴」だから英雄になったわけではない
だがもちろん、久保はただ「いい奴」だからレアレ・アレナのニューヒーローになったわけではない。
わずか1年前、クラブが久保を獲得する際には多くのファンが懐疑論を唱えた。それが今では新シーズンに向けた期待感で満ち溢れ、4000万ユーロの獲得オファーもはした金だと感じさせるのは、彼がピッチ上でそれ以上の価値を示してきたからに他ならない。
久保の移籍について他クラブがレアル・ソシエダと交渉する余地はない。彼はあらゆる面で代えのきかない存在だ。その理由を一言で説明するとすれば、ピッチ上の久保が「無礼な」選手だからだと言いたい。
あまりにスペイン人然とした立ち居振る舞いにより、チームメートから「日本人っぽさがない」と揶揄されることもあるが、それは彼のプレースタイルからも言えることではないか。
監督が与えた自由、信頼されたポリバレント性
久保は規則に縛られることなく、自由にプレーできる環境でこそ生きる選手だ。イマノル・アルグアシル監督はそのことを理解し、彼に必要な自由を与えた。ここで言う「理解」とは、彼の可能性を信じることを意味する。
久保が指揮官との相互理解を深める上では、お喋り好きで外交的な性格が後押しとなったことは間違いない。