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「タケ・クボは“いいヤツ”。ただピッチ上は“いい意味で無礼”」スペイン人番記者が見たソシエダ久保建英の相乗効果「彼は未来を担う存在」

posted2023/08/03 17:00

 
「タケ・クボは“いいヤツ”。ただピッチ上は“いい意味で無礼”」スペイン人番記者が見たソシエダ久保建英の相乗効果「彼は未来を担う存在」<Number Web> photograph by Daisuke Nakashima

サン・セバスチャンの子供たちからも大人気の久保建英。スペイン人記者は「いいヤツ」と「無礼さ」という表現でその魅力を感じ取っている

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ロベルト・ラマホ/ディアリオ・アス

ロベルト・ラマホ/ディアリオ・アスRoberto Ramajo

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 日本代表MF久保建英は2022-23シーズン、レアル・ソシエダでついにその才能の一端を開花させた。来る在籍2年目に向けて――現地スペイン人記者ロベルト・ラマホ氏の昨季総評(翻訳・工藤拓氏)、そして日本人フォトグラファー中島大介氏がいち早く撮影に訪れたプレシーズンマッチの様子をお届けする(全2回の1回目/後編#2も)

 久保建英の2022/23シーズンを一言で表すならば、「スペクタクル」と言う他ない。

 昨季の彼はスペインリーグ随一のスペクタクルを提供する選手であり、そのプレーにはスペクタクルが溢れていた。

「周囲の期待に応え、決定的な選手へと飛躍できるかどうかは、今回がラストチャンスだと思っている」

 レアル・マドリーを退団し、サン・セバスチャンへやってきた1年前。入団会見で口にした不退転の思いを胸に、彼は自らに課した「ラストチャンス」を見事に掴んでみせた。

 サン・セバスチャンで過ごしたこの1年は、久保にとってスターダムへの第一歩を踏み出す飛躍のシーズンとなった。誰もが認める才能を持ちながら、殻を破るのに苦労してきた彼は、この1年でリーグ有数の試合を決められる選手に成長したと言える。

日本におけるホームゲームチケット販売数が激増

 2022/23シーズンの久保を評価する上では、開幕戦から最終節まで、シーズンを通して高いパフォーマンスを維持し続けた安定感に触れるべきだろう。

 ただし、久保が10年ぶりとなるチャンピオンズリーグ出場権獲得の立役者の一人となった最大の要因はスタッツが物語っている。

 9ゴール5アシスト。昨季に残したこの数字は、今や久保が華麗なボールタッチで観客を沸かせるだけの選手ではないことを証明している。

 しかも久保の9ゴールは全て、チームの勝利につながっている。以前の彼はこれほどチームを勝たせられる選手ではなかった。注目度の高さは別にして、彼が選手として確固たる評価を得られない最大の原因はそこにあったと言っていい。

 奇しくも久保がゴールやアシストを重ねるたび、レアル・ソシエダの注目度や人気も高まっていった。前シーズンはわずか8枚だった日本におけるホームゲームのチケット販売数が100枚を超えたことは、「久保効果」の大きさをよく表している。

クボは親しみやすく、自然体で裏表がない

 久保は他の選手とは異なる、違いを生み出せる選手だ。周囲の注目を一身に集める彼は、マーケティングの観点から言えば金の鉱脈のような選手だと言える。

【次ページ】 「いい奴」だから英雄になったわけではない

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