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堂安律や谷口彰悟も言っていた『強豪国には“ボール保持率40%”説』を森保一監督に直撃してみた…「僕自身も」「スタッフ間でも共有しているんです」

posted2023/07/19 11:29

 
堂安律や谷口彰悟も言っていた『強豪国には“ボール保持率40%”説』を森保一監督に直撃してみた…「僕自身も」「スタッフ間でも共有しているんです」<Number Web> photograph by Atsushi Iio

ここまでの総括と秋の欧州遠征への抱負を語ったサッカー日本代表・森保一監督

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飯尾篤史

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 新体制発足後、すでに4試合の強化試合を終えた森保ジャパン。9月にはカタールW杯のリベンジに燃えるドイツ、そしてトルコとの欧州2連戦が控えている。長らく日本代表を取材するフリーライター飯尾篤史氏がインタビューに応じた指揮官の言葉から「2026年W杯へのロードマップ」を紐解いた【全2回の#1/後編へ】。

 数字をひとり歩きさせてはならない。

 だが、2026年北中米ワールドカップに向かう日本代表を見ていくうえで、指針となり得るパーセンテージであるのも確かなようだ。

 ボール保持率40%――。

 7月中旬、高円宮記念JFA夢フィールドの会議室で日本代表の森保一監督は「数字に捉われているわけではない」と強調したうえで、こんなふうに語った。

「パーセンテージで言うと、僕自身も(ボール保持率)“40%・60%”が、今の日本の勝つ確率が一番高くなる、という感覚で捉えています。スタッフ間でもずっと“40%・60%”は共有しているんです――」

快勝したペルー戦「ボール保持率40%」

 話は1カ月前、6月20日に大阪で行われたペルー戦にさかのぼる。

 南米の強豪相手に日本はビルドアップを安定させるチャレンジをしながら効果的にショートカウンターを繰り出し、シュート数は10対4、スコアも4-1と快勝を飾った。

 ところが、試合後のスタッツは意外な数字を示していた。ボール保持率は41.8%対58.2%と大きく下回っていたのだ。

 もちろん、ボール保持率が高いからといって試合に勝てるわけではないが、そこまでペルーに押し込まれた印象はなく、日本がゲームをコントロールしていた印象のほうが強い。

 ペルー戦のピッチで、いったい何が起きていたのか。

 試合後、センターバックとしてフル出場した谷口彰悟は冷静に分析した。

「森保さんの2次政権になってから、ボールを握る時間を増やしていこう、と言われています。ただ、ボールを持つことが目的じゃないし、相手との兼ね合いもある。ペルーが後ろでボールを繋ぎながら僕たちを引き出し、2トップを生かしてくることはスカウティングにもあったし、試合が始まってからもすぐに分かった」

 それなら、どの辺りからボールを取りに行き、どう奪い、どう攻撃をするか。チームとして共通認識を持ちながら、逆に、日本がペルーを引き込んでショートカウンターを繰り出していった。

「ボールを持てるなら持ちますけど、相手に持たせるというか、奪ってからのカウンターも日本の武器にしていかなければいけない。今日はボールを持たれていても嫌な感じはせず、要所要所を抑えてカウンターを狙うという戦い方を整理しながらやれたと思います」

 ピッチ上で起きていた現象や谷口の言葉から改めて感じたのは、ボール保持率40%でも十分にゲームをコントロールし、ゴールを陥れられるということ。むしろ、40%くらいのほうが、ポゼッションとカウンターをうまく使い分けられていると言えるだろう。

 つまり、W杯優勝を目指すうえで、強豪国相手に40%というボール保持率は、ひとつの指針となるのではないか――。

 そこで、ペルー戦後にこんなコラム(森保ジャパン4-1のウラ側に選手も驚く〈40%の真実〉…谷口彰悟の見立て、堂安律が語っていた「ボール保持は増やしたい。ただ、60%も必要ない」)を書いたが、その仮説を、森保監督にぶつけてみた。

 すると指揮官はまず前提として、こんなことを話した。

【次ページ】 「あまり言いたくなかったんですけどね(笑)」

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