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藤井聡太“ウサ耳笑顔ショット”のスポニチカメラマンが明かす撮影秘話「自分もウサ耳を被ったのですが、藤井先生が触れることはなく…」 

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茂野聡士

茂野聡士Satoshi Shigeno

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photograph bySPORTS NIPPON

posted2023/07/14 11:00

藤井聡太“ウサ耳笑顔ショット”のスポニチカメラマンが明かす撮影秘話「自分もウサ耳を被ったのですが、藤井先生が触れることはなく…」<Number Web> photograph by SPORTS NIPPON

2023年1月の王将戦第1局に勝利し、ウサギ姿で餅つきをする藤井聡太王将。意外な一枚が多い王将戦の「勝者の記念撮影」について撮影者に話を聞いた

「王将戦の時期は――王将戦だけが仕事ではないのですが、〈こういうコンセプト、道具はどうかな?〉と、王将戦のことばかり考えているような状態でしたね」

 こうも語る河野さんや吉田さんらに、まずは王将戦「勝者の記念撮影」の素朴な疑問を聞いていこう。2日制で開催される王将戦の撮影スケジュールを教えてもらうと、初日はざっとこんな感じだった。

「勝者の記念撮影」はどう決まる?

 <初日>

 9:00/対局の初手の撮影(主催者として)

 10:00/午前のおやつの撮影

 午前中/「記念撮影」の準備とリモートカメラでの対局撮影

 12:40/お昼休憩明けの現場撮影

 午後中/再び「記念撮影」の準備とリモート撮影

 15:00/午後のおやつの撮影

 18:00/封じ手の撮影→時間が許すまで「記念撮影」の準備

 撮影準備では事前に打ち合わせを行い、数パターンを用意することもあるそうだ。さらに王将戦は日本全国で開催される。そのため各自治体の市役所の窓口の担当者に〈どんな名産や写真を撮ってほしいか要望はありますか?〉といったヒアリングをしながら撮影テーマの候補を数個にしぼり、並行して撮影場所の交渉も行なっているという。そう言えば2022年に行われた王将戦第1局では、“記念撮影デビュー戦”の藤井が天竜浜名湖鉄道の「車掌さん」になって話題になったけど……その撮影に至るまでに細かな調整があったとは。

 あと気になるのは「勝者の記念撮影」は対局に勝利した人が選べるのか、カメラマン側で決め打ちなのか、である。

「あ、それはこちら側で決めてあります。〈これでお願いします!〉と言って、棋士の方に断られるか、周りの人から〈それはダメ!〉と止められない限りは、それでいく感じですね」(河野さん)

撮影自体は5~10分くらい

 お願いするときは「当然、緊張します」とのことだったが、今回の王将戦では藤井も羽生も快諾してくれたという。その具体的なやり取りは後述するが……フォトグラファーとして気を使う最初の局面は、終局直後の撮影である。

【次ページ】 撮影者の河野さんはウサ耳をつけた

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