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藤井聡太“ウサ耳笑顔ショット”のスポニチカメラマンが明かす撮影秘話「自分もウサ耳を被ったのですが、藤井先生が触れることはなく…」
posted2023/07/14 11:00
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph by
SPORTS NIPPON
大谷翔平、三笘薫、井上尚弥……スターの存在はその競技の世界を明るく照らす。それが2人いて、さらなる輝きを放っているのが現在の将棋界である。
説明不要だろう。藤井聡太竜王・名人(20=王位・叡王・棋王・王将・棋聖を合わせて七冠。初出以外は段位など省略)と羽生善治九段(52)である。
藤井vs羽生、話題となった対局と「記念撮影」
2023年に入って2人の注目度がさらにアップしたのは、年明けに開催された第72期ALSOK杯王将戦での初タイトル戦が実現したことが間違いなく大きい。圧倒的な勝率で将棋界を席巻する藤井に対して、タイトル通算99期の羽生が多彩な戦型をぶつけた真っ向勝負。熱戦の連続だった将棋の“芯”が人々の心を打ったことは大前提で……熱戦の翌朝、SNSや朝のワイドショーでも紹介されたスポーツ紙の1面を見て、ひっくり返った人も多いだろう。
「藤井くん、ウサ耳コスプレでお餅ついてる!」
「今度は羽生さん、ね、寝起きウサ耳姿……」
王将戦を主催するスポーツニッポン新聞社の恒例行事となっている「勝者の記念撮影」である。対局を制した棋士が対局直後ならびに翌朝にカメラマンの用意した“特撮”に応じるというもの。凡人ではまったく理解しえない未来を読む棋士のシビれる対局を経て、なんともユルいコスプレに挑む――。一体、世間を騒がせたこれらの写真はどのようにして撮られたのだろうか。そのウラ話を聞きにスポニチ本社へと足を運んでみたところ……え、こんなに担当者さんいるんですか?
担当者は「王将戦のことばかり考える」
「はい、そうなんです。今年から“王将戦撮影チーム”を作ったんですよ」
取材に対応してくださったのは写真映像部の高橋雄二部長、吉田剛デスク、若手フォトグラファー河野光希さんと藤山由理さんの4人だった。主に撮影を担当した河野さんは「各局によって他の撮影者もいたんです」と語り、王将戦に対する力の入れようが伝わる。