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藤井聡太七冠「順位戦勝率.919」に土をつけた稲葉陽、「序盤、中盤、終盤スキがない」豊島将之らの“藤井将棋評”「中盤からジリジリと…」 

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posted2023/07/03 11:00

藤井聡太七冠「順位戦勝率.919」に土をつけた稲葉陽、「序盤、中盤、終盤スキがない」豊島将之らの“藤井将棋評”「中盤からジリジリと…」<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

2021年の藤井聡太。彼と盤を挟んだ対局者もまた、勇敢な棋士たちである

 わずか5敗しかしていない順位戦で、土をつけた経験がある数少ない棋士の1人が稲葉陽だ。

 34歳の稲葉はタイトル経験こそないものの、トップ棋士の証である順位戦A級、竜王戦1組をともに「7期」経験しており、2023年度の竜王戦1組決勝で羽生善治九段を破って優勝するなど、その安定感は将棋ファン誰もが知るところ。その稲葉は2021年6月の順位戦B級1組で藤井に勝利。この1勝が後々に大きな意味を持ち、藤井とともに翌期のA級昇級(稲葉にとっては1期での復帰)を決めた。

 そんな稲葉が興味深い藤井評を語っていたのは、2022年のことだった。

「今年に入って8割近く勝てていることは大きいです。藤井さんはこれをデビュー以来、ずっと続けているんですよね」

 激しい競争の将棋界の中で、年間を通して7~8割近い勝率をマークする棋士は、なかなか出ない。それだけに自身の好調さに手ごたえを持ちつつも、年間の勝率8割台前後をマークする藤井に畏敬の念を示した。ただそれとともに、自身にとって念願のタイトルを取るためには、その藤井に勝利しなければいけない――という決意も感じさせる。

「豊島、強いよね」の興味深い藤井将棋評

<名言3>
藤井さんの対局は注目しています。
(豊島将之/Number1029号 2021年6月17日発売)

◇解説◇
 元号が令和になってから「竜王名人」の称号を得たのは2人いる。藤井、そして豊島将之九段だ。2012年のNHK杯での佐藤紳哉六段(当時)の「豊島? 強いよね。序盤、中盤、終盤、隙がないと思うよ」という言葉とパフォーマンスで知られることになった有望株は、初タイトル獲得までやや時間がかかったものの、2018年の棋聖戦で羽生から初タイトル奪取に成功すると、王位も獲得。翌年には名人と竜王、20年には叡王を獲得するなど一気に花開いた。

 そんな棋界のトップランナーの1人である豊島の“藤井将棋評”もまた、興味深い。

【次ページ】 藤井相手に“あと1勝”に迫った実力者だけに

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