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藤井聡太七冠「順位戦勝率.919」に土をつけた稲葉陽、「序盤、中盤、終盤スキがない」豊島将之らの“藤井将棋評”「中盤からジリジリと…」

posted2023/07/03 11:00

 
藤井聡太七冠「順位戦勝率.919」に土をつけた稲葉陽、「序盤、中盤、終盤スキがない」豊島将之らの“藤井将棋評”「中盤からジリジリと…」<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

2021年の藤井聡太。彼と盤を挟んだ対局者もまた、勇敢な棋士たちである

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NumberWeb編集部

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Nanae Suzuki

 雑誌「Sports Graphic Number」「NumberWeb」に掲載された記事のなかから、トップアスリートや指導者たちの「名言」や写真を紹介します。今回は藤井聡太七冠にまつわる棋士たちの3つの言葉です。

<名言1>
1局は勝ちたかった。
(木村一基/Number1018号 2021年1月7日発売)

◇解説◇
 藤井聡太竜王・名人(王位・叡王・棋王・王将・棋聖と合わせ七冠)が次々と最年少記録を塗り替える一方で、2019年に将棋界である1つの大きな記録が生まれた。王位戦を制した木村一基九段、46歳3カ月の初タイトルである。

 97年、23歳でのプロ入りから23年目での栄光、さらに言えば7度目のタイトル戦挑戦の初奪取、初挑戦から13年11カ月かかっての達成も史上最長だった。そんな苦労を知るだけに――普段の解説や大盤解説会の語り口ではユーモアがあふれ「将棋の強いおじさん」とも言われるが――王位を獲得した瞬間に本人は涙し、心を打たれたファンも多い。

 その翌年、初の王位防衛として盤を挟んだのは、藤井だった。当時棋聖戦と同時にダブルタイトルに挑んでいた新進気鋭の17歳に対し、木村は4連敗で終わった。「正直、注目を浴びるのは嫌でした」と、藤井が大きく注目を浴びる中で、敗者となった偽らざる気持ちを語っている。それとともに、以下の言葉には棋士としての矜持を感じさせる。

「今後も対戦することを考えると、1勝しておいた方がいいに決まっていますから」

 その後NHK杯で「この世界は、現状維持を意識した瞬間に負けなんです」と語る木村。「百折不撓」を座右の銘とする受けの名手が再び檜舞台に出てくる――その姿を期待するファンは多い。

順位戦通算“わずか5敗”土をつけた稲葉の決意

<名言2>
やはりタイトル獲得が一番の目標です。ただそうなると、藤井聡太竜王を倒さなくてはいけません。
(稲葉陽/Number1057号 2022年8月25日発売)

◇解説◇
 2023年6月1日、最年少名人を獲得した藤井。その挑戦権獲得に至るまで戦った「順位戦」はピラミッド方式で行われる年間のリーグ戦で、将棋棋士の序列を決める非常に大事な戦いである。そこで藤井は第81期順位戦まで計62局を戦って57勝5敗、勝率にして「.919」という破格の成績を残して名人戦の舞台へとたどり着いた。

【次ページ】 「豊島、強いよね」の興味深い藤井将棋評

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