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巨人打線のキーマン・秋広優人20歳が“急成長中”なワケ…原辰徳監督の若手育成術とは?「我々にできることはチャンスを与えることだけだ」

posted2023/06/20 17:02

 
巨人打線のキーマン・秋広優人20歳が“急成長中”なワケ…原辰徳監督の若手育成術とは?「我々にできることはチャンスを与えることだけだ」<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

巨人打線のキーマンとして活躍中の秋広優人20歳。松井秀喜の55番を背負う期待のホープだ

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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Kiichi Matsumoto

「6月くらいまでにはチームとして1つの形を作り上げようと思っている」――原辰徳監督がこう語っていた言葉通りに、巨人は交流戦を経て、徐々に戦える体制が整ってきた。

 打線のカギになったのは、「3番・左翼」の定位置をものにした秋広優人内野手の成長だ。

 開幕こそ二軍スタートだったが、4月18日に約1年半ぶりに一軍昇格。22日のヤクルト戦でプロ初スタメンに抜擢されると、いきなりプロ初安打、初打点をマークした。さらに29日の広島戦でプロ初本塁打を放つと、5月25日のDeNA戦では「3番・右翼」と、巨人では背番号55の先輩である松井秀喜さん以来の20歳以下でのクリーンアップ先発出場を果たした。

 交流戦終了時点で打率3割2分1厘の4本塁打、18打点は文句なしのレギュラー選手の成績だろう。

 そんな秋広の成長を評して原監督は、「私やコーチが与えたものではなく、彼が自分の力であの位置をつかんだ」と語る。

 巨人には若手が育たないという評がつきまとう。理由は原監督が我慢して、若手を使い続けないからだという。ただ、プロの世界では能力を認められ、その上で本人が結果を残せなければ、いくら期待の若手でも使い続けることはない。

 巨人ではあの松井さんも1年目は開幕二軍で、一軍昇格後も結果が出ず二軍落ちを経験している。今や主砲に育った岡本和真内野手は、4年目の2018年に当時の高橋由伸監督が抜擢してレギュラーポジションを獲得した。しかし前年の17年は同じ高橋監督の下で開幕先発を果たしながら、結果が残せず4試合で先発から外れ、4月下旬にはファーム落ちしている。結局、18年にレギュラーポジションを獲得したのは、開幕から岡本自身が打って、結果を残したからだった。坂本勇人内野手も、2年目の開幕直後からいきなり打ってレギュラー選手となっていった。

原監督にとっての育成とは…?

 他チームではヤクルトの村上宗隆内野手が「あれだけ三振をしても我慢して2年目から使い続けた結果」と言われている。しかし2年目に「6番・三塁」で開幕スタメンを果たすと、最初の10試合で2本塁打、20試合で5本塁打と結果を残した。起用してすぐに非凡な才能を示し、結果を残したからこそ、高津臣吾監督はその後も使い続けることができたのである。

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