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「ショウヘイが私をからかって(笑)」就任から1年、エンゼルス指揮官が明かす“大谷翔平の本当の人間性”「彼の近くにいるだけで幸運だよ」
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byAFLO
posted2023/06/11 11:02
大谷翔平とエンゼルスのネビン監督。ネビンは6月で指揮官就任から1年を迎えた
「…検討中だ。翔平はいつも正直に話してくれる」
「検討中だ。大谷の休養日は結果で判断しない。彼の体の状態で判断する。彼はいつも私に正直に自分の体の状態を話してくれる。今日、明日(30、31日)は試合に出る。休みはそれ以降に判断したい」
162試合の長丁場。米国や中南米の選手は休みを受け入れ、休みながら体調を整える。多い選手ならば1週間から10日の間に1日の割合で休む。これは20世紀の時代からメジャーで続く風習とも言える。無論、歴代最多の2632試合連続試合出場を記録したカル・リプケンなど休みを望まなかった選手もいる。そして一石を投じたのが日本人選手。イチローさん、松井秀喜さんがその代表例と言えるだろう。ふたりは休みを望まなかった。
「休むことで崩れ、失うものはたくさんある」
ふたりは精神論で休みを望まなかったわけではない。体調管理、技術維持ともに出場を続ける方が持続しやすい。彼らはそう考えていた。そして、今、大谷翔平もまさにその境地にいる。
ネビン監督が驚いた姿勢「翔平の準備はすべてに意味がある」
ネビン監督が三塁ベースコーチとしてエンゼルスに招かれたのは22年シーズンだった。それ以前はヤンキースの三塁ベースコーチ。大谷のチームメートになり、受けた衝撃は大きかったという。
「私が彼の準備を始めて見たのはスプリングトレーニングの時だった。毎日、彼がやっている投手と打者両面での準備には本当に驚かされた。語り尽くせないものがある。選手の中には無意味な練習をしている者もいる。練習のための練習だ。でも翔平の準備はすべてに意味がある。彼のやっていることには一貫性があるんだ。昔、ピート・ローズが『俺は実戦に即さない練習はしない』と言っていたことを思い起こす。翔平も同じだ。すべてが実戦に通じ、彼は自分の体にかかる負荷の量までを把握している。
ニューヨークにいた頃は単純に『これはスペシャルだ!』なんて思っていたものだが、同じチームに来て毎日見ていると、今までの野球人生で私が見たことのないことを彼はしている。彼の近くにいるだけで幸運を感じるよ。正直、彼から多くのことを学んだ。野球の頭脳もスマートそのもの。間違いなくトップクラスだ」