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[首脳陣の現在地]迷走は終わりを迎えたのか

posted2023/04/13 09:02

 
[首脳陣の現在地]迷走は終わりを迎えたのか<Number Web> photograph by Getty Images

'21年にエミレーツ・スタジアムのエバートン戦前にスタン・クロンケに対する抗議活動が行われ、1000人を超すサポーターが参加

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サイモン・マロック

サイモン・マロックSimon Mullock

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22年間続いたベンゲル体制の終焉は、大きな方向転換であり、改革の始まりとなった。だが、その後チームの再建は混迷を極めることに。果たして未来へ向けた基盤の構築は進んでいるのか。

「失われた10年」

 昨シーズンまでのアーセナルに関しては、こんなフレーズで表現されるケースが多い。2003-'04シーズンに無敗優勝という大記録を達成したのを最後に、プレミアリーグでは無冠。2004-'05、2015-'16シーズンに2位につけたのが精一杯で、チャンピオンズリーグの出場枠争いにさえ参加できない状態が続いてきたからだ。

 アーセナルの運命はどこで狂ってしまったのか? よく指摘されるのはアーセン・ベンゲル体制の弊害だ。フランスから招かれた監督は1996-'97シーズンから通算して22年間もクラブの指揮を執り続けた。アレックス・ファーガソン去りし後のマンチェスター・ユナイテッドが再建に苦しんだように、長過ぎる治世が指導体制の刷新とチームの活性化を妨げた側面は否めない。

 だがベンゲルだけに責任を問うのは適切さを欠く。たしかに彼はクラブの運営にも深く携わったが、現場の成績を最終的に左右するのはマネージメントである。事実、アーセナルは、まさにこのマネージメントの部分において迷走してきた。

 そもそもアーセナルは、第二次大戦以前から、ヒルウッド家と呼ばれる実業家の一族を中心に代々経営されてきた。そんなクラブの運命を大きく変えたのが、デイビッド・ディーンである。砂糖の取引で財を成したディーンは、1983年にクラブ株式の16.6%を取得し副会長に就任。プレミアリーグ発足の前年に当たる1991年までには株式の保有率を42%にまで増やし、クラブの運営からチーム強化、そして長期的なビジネスプランの立案と遂行までを取り仕切るようになった。

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