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《世にも恐ろしいスポーツ》「未練を断ち切って全部捨てたはず、なのに…」なぜかやりたくなってしまう…ヤバい“雪合戦”の話
posted2023/04/07 17:46
text by
中村計Kei Nakamura
関東最強と呼ばれた雪合戦軍団「千葉レイブンズ」の創設者であり、『雪合戦マガジン』の初代編集長でもあるノンフィクションライターの中村計氏が「コロナ後」の雪合戦界をレポートする。【全2回の2回目/#1へ】
◆◆◆
「雪合戦界は、もう衰退していってるよ…」
参加チームの極端な減少は、新型コロナのせいだけではない。『雪合戦マガジン2022』によれば、2015年に全国で1106組あると推定されたチーム数は年々減り続け、2020年には683組にまで落ち込んでいる。
もちろん近年は、少子高齢化の影響もあり、あらゆるスポーツが競技人口の減少に頭を悩ませている。だが、雪合戦の場合、それだけを理由にはできないほどの激減ペースだ。新型コロナの感染拡大がなくとも、今年は、相当厳しい参加数になっていたことだろう。
いずれにせよ、相当弱っているところに、新型コロナ禍がトドメを刺す恰好となったわけだ。雪合戦マガジンの編集長・山田雅志は、各チームの今年の活動状況をこう推測する。
「何らかの大会に参加できたチームということで言えば、今年は全国で200ぐらいじゃないでしょうか。今年も全部の大会が開催できたわけではないので、やりたくてもやれなかったチームもあると思います。ただ、残念なことに、今年になって、また消滅してしまったチームもたくさんあります」
最盛期には、雪合戦チームは全国で1500組ほどいると言われていた。前身のうえはら生花店時代を含めると昭和新山の優勝4回を誇るSKYWARDの主将で、雪合戦界のレジェンドと言っていい存在の宮下博州が、こうこぼすのもうなずける。
「雪合戦界は、もう衰退していってるよ……」
大会を見終えるまで、私も今の雪合戦界を表現するのに「衰退」という言葉以外、思い浮かばなかった。
「こんなにエキサイティングな競技は他にない」
確かに、大会規模は物足りなかった。しかし大会2日目に入り、準決勝リーグ、決勝トーナメントと進み、トップチーム同士の試合になると、磨き抜かれた技と、練られた戦術に、ぐいぐいと引き込まれた。ときに思わず体をのけぞらせ、ときに「おおぉ」と感嘆の声が漏れた。