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「クボの鮮烈ボレーに加えて…」“ハイライトだけではもったいない”ソシエダ久保建英の飛躍を現地撮影「特筆すべきはゴール直前の守備」
posted2023/02/16 06:00
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph by
Daisuke Nakashima
2月13日リーガ21節、久保建英所属のレアル・ソシエダ対エスパニョール戦の撮影に向かった。
キックオフから23分、ゴール前の競り合いから勢いよく弾き出されたボールは、ボックスやや外でフリーになった久保を目がけて飛んでいった。
久保は冷静に丁寧に左足インサイドでボールの勢いを殺すと、一度キーパーの位置を確認し、後はショートバウンドさせたボールの一点を見つめ、叩きつけるように左足を一閃した。低く抑えられたボールは、キーパーの手を弾きニアサイドに突き刺さった。
久保はこのゴールのほかにも、鋭いクロスから相手のオウンゴールを誘発するなど、2得点に絡む活躍で2-3の勝利に貢献、2試合続けてのMOM(マンオブザマッチ)選出となった。
悪い流れを断ち切るために勝ち点3はマストの中で
試合前のスタジアムの雰囲気など、撮影を振り返っていく。
戦前、リーガ3位と好調のソシエダだったが、ダビド・シルバ、メリノなど主軸の怪我も響き、国王杯も含めた直近の3試合でゴールを奪えず、パフォーマンスの低下が囁かれ始めていた。悪い流れを断ち切って来季CL出場権を得るためにも、格下エスパニョールから確実に勝ち点3を勝ち取りたい試合となった。
対するエスパニョールは、15位と順位を落としてはいるが、中断明け以降2勝3分1敗と調子を上げてきている。その中で首位バルサと引き分け、5位のベティスに勝利するなどと確実に勝ち点を積み上げている。
ただ、この試合に負けると、他の会場の結果により降格圏間際の17位まで落ちてしまうこともあり、ソシエダ戦へのモチベーションもかなり高かったはずだ。
〈KUBO!〉の掛け声に、久保の少年ファンと思ったが…
キックオフは、現地月曜21時。
バルセロナ中心より電車で30分ほどの、中村俊輔なども在籍したことのあるエスパニョールのスタジアムへ向かった。この日も先発メンバーに名を連ねた久保などソシエダメンバーがアップのためピッチに姿を現す。
背後からの〈KUBO!〉という子供の声にカメラを向けると、バレネチェア向けメッセージボードを抱えたファンだった。
久保の少年ファンを撮影しようと思ったため、一瞬拍子抜けしたが――ソシエダファンにとって、既に久保という存在が“普通”になっているのだということを改めて感じさせられた。